「タケが“シルバ役”をできると証明」先発直訴も…トップ下で途中出場の久保建英をソシエダ番記者が賞賛!「サーカスのような超絶技巧」も披露【現地発】

2022年09月07日 ミケル・レカルデ

お粗末な守備対応が致命傷となって失点

アトレティコ戦で途中出場ながら存在感を発揮した久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

「もう何ともない」

 タケ・クボ(久保建英)は木曜日(1日)の練習後に、まるで遊園地のアトラクションを1分も逃したくない子供のようにスタメン出場を志願した。

 土曜日のアトレティ戦を控え、おそらく最も内容がハードだった2つのセッションを欠場したため、バルセロナ戦に続くアノエタでの今シーズン2度目の大一番への先発出場は不透明な状況にあった。

 ましてやイマノル・アルグアシル監督はメンバーの人選を考える際にその1週間における練習を重視する傾向がある。案の定、今回もその方針を貫き、タケは今シーズン、初めてベンチスタートとなった。代わってスタメンに起用されたのは、アレクサンダー・セルロト。移籍期間の終了間際に加入した2選手のうちのひとりで、タケとは対照的にと恵まれた体格を活かしたパワフルなプレーが持ち味だ。

 結論から言うと、強豪相手にソシエダはよく戦った。バルサ戦と同様に、多くの時間帯で優勢に試合を進めた。スタジアムの熱量がそんな選手をさらに後押しした。痛恨だったのは、またしても子供じみたお粗末な守備対応が致命傷となって、開始早々に先制点を許してしまったこと。このようなミスを犯していては、老獪なアトレティコから勝利、ましてや逆転でもぎ取るのは至難の業だ。
 

 タケは71分、ダビド・シルバに代わって途中出場した。今シーズン、チーム内で課されるであろう役割を示す交代劇だ。シルバは年齢による体力の衰えを考慮し、温存しながら起用する必要がある。アルグアシル監督は、そのシルバが不在の状況において、攻撃のタクトを託したいと考えているのが他でもないタケだ。

 この場面も、ウマル・サディクがデビューから10分後に同点ゴールを決め、スタジアムのボルテージが一気に上昇する中、アンデル・バレネチェアとアリツ・エルストンドと同時に投入された。この日は、モハメド=アリ・チョも素晴らしいパフォーマンスを披露。新戦力を加えてソシエダのスカッドが強化されたのは間違いないだろう。

 そのひとりでるタケはメディアプンタ(トップ下)が"肌"にぴったり合った選手であることを改めて実証した。この日も強みになったのが素早いターンで、ディエゴ・シメオネ監督がプールにサメの群れを解き放つように構築した中盤の密集地帯を幾度も突破。とりわけダブルタッチパスでサディクに相手GKとの1対1のチャンスを演出したプレーはサーカスのような超絶技巧だった。

 サディクも繊細なチップキックでゴールネットを揺らし、タケの美技に応えたが、副審のフラッグが上がり、スタジアムに上がった歓声は一瞬で落胆のため息に変わった。

【関連動画】「サーカスのような超絶技巧」とスペイン人記者が驚嘆!久保建英の幻となった"ダブルタッチアシスト"
 

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