レジェンドのチャント復活も4連敗…声出し応援解禁は苦境にあえぐ仙台の救いとなるのか?

2022年09月05日 小林健志

ユアスタに2年半ぶりに声援が帰ってきた

水戸戦はユアスタで久しぶりの声出し応援対象試合に。サポーターの全力の声援が響き渡った。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

[J2第34節] 仙台1-2水戸/9月3日/ユアテックスタジアム仙台

 J2仙台の本拠地ユアテックスタジアム仙台は、観客席を屋根が覆う構造となっており、サポーターの声援がよく反響してピッチで地鳴りのように鳴り響くスタジアムとして知られる。ユアスタの雰囲気を脅威と感じる相手チームの監督や選手は多く、サポーターが12番目の戦士となる雰囲気を作りやすいスタジアムだ。

 しかし、2020年3月以降はコロナ禍に伴い、サポーターの声援がユアスタから消えた。それと時を同じくするかのようにチームは苦境に陥った。サポーターはピッチ上の選手たちに思いを伝えようと手拍子や旗などでチームを鼓舞したが、2020年シーズンはホームゲームで1勝もできず。そして昨季、仙台はJ2へ降格した。

 今季も夏頃まではJ1自動昇格圏内をうかがう勢いだったが、8月に入って大きく失速。ホームゲームでは7月6日の第25節・甲府戦を最後に勝利がなく、直近のホームゲームは3連敗。2年半、地鳴りのような声援の消えたユアスタで、仙台は苦しみ続けていた。
 
 そんななか、9月3日のJ2第34節の水戸戦は声出し応援対象試合となった。声出しエリアはバックスタンドの自由席に限定され、ゴール裏は手拍子のみと制限された形ではあったが、ユアスタにサポーターの声が戻ってきた。

 J1自動昇格圏内が遠のく3連敗中ということもあってか、試合前に恒例となっていたカントリーロードは歌われず、選手たちは拍手のみで迎えられた。しかし、試合が始まるとサポーターから全力の声援が響き渡った。

 選手個人を応援するチャントは、コロナ禍を経て多くの選手が入れ替わったこともあり、新しい曲が使われた選手もいたが、往年の名選手に受け継がれていった伝統のチャントがあてがわれた選手もいた。

 例えば「俺らの誇り、遠藤康…」は、かつてFKの名手として名を馳せた岩本輝雄氏のチャントだった。それを伝えると遠藤は「そうなんですか。嬉しかったですね。ああいう声を聞くとプロサッカー選手なんだなと思いますし、ああいうのが日常、普通になってくれれば良いなと。初めて声を聞けて良かったです」と顔をほころばせた。

 そのほか、2001年シーズンのJ2や、その後のJ1昇格後も大活躍したFWマルコスのチャントはFW富樫敬真に受け継がれ、同時期に活躍した天才肌のMF財前宣之のチャントはMF中島元彦に受け継がれた。
 

次ページ懐かしのチャントを最も噛みしめたのは…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事