真っ先に声をかけてくれた宮市亮。尊敬する先輩の励ましで奮起した関東学院大FW村上悠緋の野心「得点王を取れるように」

2022年08月31日 安藤隆人

「強くなって帰ってくれば全然問題はないよ」

来季の横浜内定が決まっている村上。屈強なフィジカルとしなやかな身のこなし、多彩なゴール前へのアプローチが魅力のストライカーだ。写真:安藤隆人

 国士舘大対大阪学院大の決勝(9月4日)となった総理大臣杯。数々のタレントが日本一を目ざして凌ぎを削ったこの大会、2回戦で敗れた関東学院大のエースストライカー村上悠緋は、長期に渡る怪我から復帰し、この大会にかける意気込みはかなりのものがあった。

「コンディション的には徐々に戻ってきている感触だったからこそ、負けて悔しいです」

 2回戦では明治大に0-2で敗れた。相手の分厚い攻撃を前に守勢に回ることが多く、1トップを張る村上のもとにボールが届くことは少なかった。

 それでも一度ボールが収まれば、屈強なフィジカルとしなやかな身のこなしで味方に良質のパスを送り、果敢にゴール前に走り込んで行ったが、シュートは1本も打てないまま69分に交代を告げられ、チームも敗れた。

 村上は大学3年次の昨年7月に横浜F・マリノス加入内定を掴み取った注目のストライカーだ。ターゲットマンになりながら、前線で幅広く動いてゴール前へのアプローチも多彩。北海道大谷室蘭高から関東学院大に進学すると、フィジカル強化と前線からのハイプレスを体得し、よりスケールの大きなストライカーへと成長を遂げた。
 
 しかし、今年3月にアクシデントが襲い掛かった。昨年に続き、今年も横浜の特別指定選手に登録されている村上は、横浜での練習中に左足が芝生に引っかかった状態でタックルを受け、左足が抜けないまま倒れたことで腓骨骨折という大怪我を負ってしまった。

 だが、この怪我で多くの気づきと学びを得ることができた。怪我をした際、真っ先に声をかけてくれたのは宮市亮だった。自身も多くの怪我を経験している宮市は、落ち込む村上に対し、「必ず復帰できるし、強くなって帰ってくれば全然問題はないよ」というメッセージを送った。

 リハビリでは、当時負傷中だった喜田拓也からも「もっとこうしたほうがいい」「こういう考えを持ったほうがいい」とアドバイスをもらったという。

「宮市さんからのメッセージは本当にリハビリを頑張るうえでの支えになりましたし、喜田さんから学ぶものは、ものすごく大きかった。リハビリ期間で股関節などの可動域だったり、部分的な筋力アップなど、自分の身体と向き合って課題解消と武器を磨くために何をすべきか考えながら取り組むことができた。身体の使い方はうまくなったと思います」
 

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