【監督経験者の視点】世界で通用する次なるFWは現われるか? 城福浩氏が国内外の「NEXT岡崎」をリストアップ

2015年09月29日 サッカーダイジェスト編集部

岡崎の地位を脅かす可能性を持つのは永井と武藤。

『NEXT岡崎』として城福氏が候補に挙げる永井(左)と武藤。ともにスピードという確固たる武器があるだけに、スペースがない時の動きがポイントになるという。写真(永井):小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部 写真(武藤):Getty Images

 マインツで2年連続二桁ゴールをマークし、今季からプレミアリーグへと戦いの舞台を移した岡崎慎司だが、果たしてこの日本代表ストライカーに続く人材は現われるのか。FC東京、甲府などで監督を務めた城福氏が主な候補者をリストアップし、個々の選手について解説する。
 
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 岡崎に似たプレースタイルの選手を探すのは難しいが、90分を通じてインテンシティを保ち、攻守両面でハードワークするという点で共通するのは、名古屋の永井謙佑だ。永井のスピードはすでに世界水準で、思いのほかフィニッシュも上手い。五分五分の状態で走り出せば高い確率で競り勝つうえ、岡崎のように常に相手のミスも狙っている。そういう意味で、世界屈指のDFと対峙して脅威を与えられる存在だ。
 
 欧州組だが、武藤嘉紀も90分間を通じて献身的に動き回るタイプ。永井が30メートルの距離でスピードを発揮するとしたら、武藤は15メートルの距離で存在感を放つ。相手ブロックの中に入り込んで、瞬間的に裏を突くスピードと身体の強さがあり、それを継続的に出せるという点は、岡崎に勝るとも劣らない。
 
 ただ、このふたりが岡崎と決定的に異なるのが、スペースがない時のプレーだ。岡崎は自分の体格と特長を考え、なにをすればいいか頭の中で整理できているから、スペースがなくてもコンスタントに点が取れる。相手がボールウォッチャーになっている隙を見逃さず、クロスが上がる瞬間にフェイクを入れたり、駆け引きの部分で細かな工夫をしている。いわば"自分の型"があるのだ。
 
 永井と武藤はどうかと言えば、スペースがある時は脅威になっても、スペースを消された途端に迫力が失われてしまう。その場合にどうすれば良いかという正解はないが、自分の特長を踏まえたうえでゴールから逆算して考えると、徐々にプレーが整理できるはずだ。
 
 岡崎を越える条件のひとつは、スペースがない時にいかに自分の特長を出せるか。裏を返すと、ふたりはすでに確固たる武器を持っているだけに、課題を克服できれば岡崎よりも怖いプレーが可能になる。そうなれば、岡崎の地位も安泰とは言えなくなるだろう。

次ページ“岡崎タイプ”の名前がすぐに出てこない日本サッカーの現状に危機感が募る。

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