【今だから言える15年夏の超極秘話②】補強失敗を受けてモウリーニョとアブラモビッチの間にヒビが?

2015年09月25日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

来夏はクロップ招聘に動く可能性も?

今夏は思ったような補強ができなかったモウリーニョ。開幕5試合で3敗を喫し、風当たりが強まっている。(C)Getty Images

 今夏を通じて思うように事が運ばず、例年に比べて地味な補強に終わったのが、チェルシーだ。
 
 移籍期限ぎりぎりにナントから獲得したCBのパピ・ジロボジにしても、国際的には無名で、いわば妥協の産物でしかない。
 
 ジョゼ・モウリーニョ監督が獲得を望んでいたCBは、今夏にモナコからバレンシアに移籍したアイマン・アブデヌールだった。
 
 一方でオーナーのロマン・アブラモビッチは、ローマに所属するギリシャ代表のコンスタンティノス・マノラスを欲しがっていたが、こちらも叶わなかった。
 
 アーセナルに新天地を求めたペトル・チェフの後釜となる第2GKについても同様だ。
 
 ファーストチョイスはヴォルフスブルクのディエゴ・ベナーリオだった。しかし交渉がまとまらず、ストークのアスミール・ベゴビッチで手を打つしかなかったのだ。
 
 こうした補強の失敗を巡って、モウリーニョとアブラモビッチの間には小さくない軋轢が生じたと伝えられている。
 
 モウリーニョが監督に復職してからの2シーズンは蜜月が続いていたが、第一次政権の時と同じく3年目に入って関係が変わりつつあるようだ。
 
 もちろん、それが例えば来夏の監督交代に繋がるという確証はない。それでもアブラモビッチがモウリーニョを見限り、ユルゲン・クロップ(元ドルトムント監督)のような大物の招聘に動く可能性はある。
 
 ちなみにそのクロップは、8月下旬にアンドレ・ヴィラス=ボラス現監督の立場が揺らいでいるゼニトからコンタクトを受けたが、自分を含めたテクニカルスタッフ全員の年俸として総額1500万ユーロ(約21億円)という法外な要求を突きつけ、オファーを事実上拒否している。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※ワールドサッカーダイジェスト2015.10.01号より加筆・修正

 【今だから言える15年夏の超極秘話①】ポグバ移籍は実現の可能性が十分にあった!

【今だから言える15年夏の超極秘話③】ユーベがシケイラを捨ててA・サンドロを獲った舞台裏


【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO / SKY ITALIA
ジャンルカ・ディ・マルツィオ
1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。父は70~90年代にナポリ、ジェノア、レッチェなどで監督を歴任し、現在はTVコメンテーターのジャンニ・ディ・マルツィオ。選手としては才能に恵まれず、ジャーナリストを志し、パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタート。04年から『スカイ・イタリア』に所属する。父を通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、13年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事