来季名古屋入り内定の明治大・和泉竜司が目指すストライカーとしての高み

2015年09月21日 安藤隆人

調子の上がらないチームのなかで、和泉が前線で発し続けたメッセージ。

順大戦では自身のゴールはなかったものの、和泉は献身的な動きで明大の勝利に貢献。写真:安藤隆人

 ゴールこそなかったが、エースの存在感は見せた――。
 
 来季の名古屋入りが内定している明治大FWの和泉竜司は、関東大学リーグ14節の順天堂大戦で、2トップの一角としてスタメン出場すると、献身的な動きで攻撃を牽引した。
 
 この試合の明治大は決して調子が良いとは言えなかった。最終ラインからのビルドアップが少なく、仙台入団内定の差波優人と柴戸海のダブルボランチにスムーズにボールが入らない。ロングボールが多い展開が前半立ち上がりから続いた。
 
「前半から全体的に後ろに重くて、自分がボールを受けに落ちてしまうと、(2トップの一角の藤本)佳希が孤立してしまうし、逆に前に張っていても、単調なサッカーで終わってしまう。背後を狙いながらも、セカンドボールを拾う意識も持って、ボランチがもっと上がって受けられるように考えながら動きました」
 
 この言葉どおり、中盤が間延びした状況下でも、和泉はボールを受けに必要以上に下がったり、ロングボールから無理に裏に抜けるような動きをしなかった。相手のボランチラインや最終ラインの間に顔を出しながら、前線で8の字に動き続けて、敵陣バイタルエリアでボールを引き出そうとするだけでなく、ボランチが上がって来るスペースを作ろうとしたのだ。
 
「ロングボールに頼るな!もっとボランチを使え!」
 前線で和泉が発し続けたこのメッセージに、徐々に低い位置でバランスを取っていた差波がバイタルエリアまで顔を出すようになると、右MFの道渕諒平のドリブル突破とロングボールに頼りがちだった攻撃が、サイドチェンジや中央での起点ができたことによって、左MFの瀬川祐輔を有効活用できるようになり、よりスムーズに回り始めた。
 
 そして41分、その瀬川にボールが入ると、和泉と藤本の2トップが一斉に動き出す。瀬川の左からのクロスを、和泉がゴール前で受けて、DFと競り合いながら、藤本に落とす。これを藤本が冷静に蹴り込んで、明治大が先制に成功した。

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