【広島】帰ってきた背番号7。森﨑浩司は優勝への“ラストピース”となれるか?

2015年09月20日 小田智史(サッカーダイジェスト)

リハビリの日々を乗り越え、約2か月ぶりの実戦復帰。

味方の動きに合わせて、ゴール前やスペースに飛び込むのが森﨑浩の持ち味のひとつ。今後引いた相手と対峙する際には、貴重な切り札になるだろう。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 前節の柴﨑晃誠に続き、優勝争いを続けるチームにまたひとり頼もしい男が帰ってきた。背番号7を背負うレフティ・森﨑浩司だ。
 
 森﨑浩は、第2ステージ4節の横浜戦を最後に試合から遠ざかっていた。第1ステージで痛めた右足太もも裏が癒えて調子が上がってきたかと思えば、今度は右足の内転筋を負傷し、リハビリの日々を送ってきた。熾烈なレギュラー争いを制し、今季開幕から5試合連続でスタメンを張った男は、約2か月もの間ピッチに立てなかったのだ。それでも、そこはプロ16年目のベテラン、心を覆う歯がゆさを振り払い、前進することだけを心掛けたという。
 
「コンディションが上がってきたところで怪我をしてしまい、悔しさやモヤモヤした想いがあったのは事実です。でも、過去は取り戻せないし、『やってしまったものは仕方ない』と開き直って、怪我を治して試合に出ることだけを考えてここまで来ました」
 
 78分、0-0と膠着状態が続くなかで柴﨑に代わってピッチに立つと、「ゴールを奪う」――、その一点にフォーカスしてピッチへ。広島のコンビネーションサッカーの"申し子"と言われる所以でもある、周囲と連動した動きや飛び出しを意識したプレーを見せる。
 
「(鳥栖のように)引いた相手は簡単には崩せない。"3人目の動き"を意識して、自分が上手くその3人目になってボールをもらいたいなと思ってプレーしました。自分の得意とするところでしたけど、なかなかスペースを与えてもらえず、前を向くシーンは少なかった。もっと危険なところでボールを受けて、相手にとって脅威にならないといけない」
 
 しかし、鳥栖の堅い守備をこじ開けられず、「ゴールを取らないと勝利に結び付かない。勝点3を取りたかったから、悔しい気持ちでいっぱい」とスコアレスドローに終わった現実を悔やんだ。得点が欲しいスコアレスの状況において、柴﨑らが不在の間に7試合連続スタメンとチームを支えた若い野津田岳人を投入する選択肢も考えられた場面で、森﨑浩を起用した意図を森保監督はこう明かす。
 
「スペースがないなか、どうやって相手を崩してゴールを奪うか。そう考えた結果、(野津田ではなく森﨑)浩司を選択しました。ガク(野津田)は運動量があって、これまで攻守で貢献してくれましたけど、浩司はガクや(柴﨑)晃誠とはまた違って、セットプレーを含めて目先を変えられるので」

次ページ優勝争いに連れてきてくれたチームメイトに応えるために――。

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