【山形】J1生き残りを賭けた「勝負の1週間」。最大の近道はシンプルに貫くこと。

2015年09月19日 嶋 守生

前節の広島戦では久しぶりの先制点を奪ったが……。

前節の広島戦に敗れ、15戦白星に見放されている山形。エースのディエゴ(写真)にいっそうの期待がかかる。写真:田中研治

 年間順位で勝点18の最下位と苦しむ山形。10節の広島戦も1-3で落としてじわじわと残留ラインから遠ざかってしまっている。
 
 残留圏内である15位の新潟との勝点差は9月18日時点で8。天皇杯1回戦に出場した関係で残り試合が1試合多いため、残留の可能性もまだ残っているが、20日からはアウェーの柏戦、中2日でアウェー松本戦、さらに中2日でホーム仙台戦と、7日間での3連戦が控えており、この結果次第では一気に先が見えてしまうという「勝負の1週間」となる。
 
 しかし、そういった厳しい日程や勝点差以上に、5月10日の柏戦以降、リーグ戦で15試合勝てていないという流れの悪さの方が深刻だ。
 
 ここまで結果が出ない理由は明確だ。個々の実力差を埋めるべく、それぞれのハードワークによってハイプレスをかけ相手ボールを奪うところまではできている。だが、先に迎えたチャンスを決めきれず、逆に前掛かりになったところを相手にやられてしまう、あるいは自分たちのミスから先に失点してしまうという試合が多いのだ。
 
 山形のゲームプランは、高い位置でボールを奪ってショートカウンターから先制点を奪い、さらに前に出てきた相手にカウンターを浴びせるという先行逃げ切り型。0-0ならともかく、先制できなければ厳しい展開になるのは当然で、それが得点力不足に悩むチームであればなおさらだろう。
 
 この未勝利期間における山形の先制ゴールは先の広島戦のみ。自分たちのスタイルで戦えていても、肝心の結果が付いてこないのだ。
 
 だが、石崎監督はプレッシングに特化した自身の戦術からブレることはない。それもそのはずだろう。練習メニューのほとんどに攻守の切り替えや前へアプローチをかける要素が盛り込まれていて、そのプレーが身体に染み付くくらい反復されているからだ。「それしかやってないからな。今さら変えられんじゃろ」と石崎監督も話している。
 
昨年、J2リーグ終盤戦に旋風を巻き起こしてJ1昇格を果たしたのも、ひとえに戦術をチームに浸透させて、最後まで貫き通した結果だ。今年もシステムの変化や戦術の微修正は行なわれているが、ベースは変えることなく貫き通している。
 

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