【E-1なでしこ】アジア最大のライバルを相手にビクトリーロードを力走。来夏のW杯に向け、競争はさらに激しくなる

2022年07月27日 西森彰

アジア最大のライバル中国に最後まで主導権を与えず

E-1連覇を果たした、なでしこジャパン。2勝1分と盤石の戦いぶりで大会を制した。主将の清水(写真)は大会MVPを受賞。写真:早草紀子

[E-1選手権]なでしこジャパン 0-0 中国女子代表/7月26日/茨城県立カシマサッカースタジアム

 E-1選手権の最終戦に臨んだなでしこジャパンは、勝点2差で追う中国女子代表と優勝を賭けた直接対決に臨んだ。結果は、スコアレスドロー。ゴールと勝利こそ手にできなかったが、今年初めのアジアカップを制している中国を終始、上回る好内容で、池田太監督就任後、初タイトルを手にした。

「日本開催で、目標としていた優勝をしっかりと達成できた。中国戦は勝ちたかったが最後まで粘り強く戦えた。タイトルを取った喜びをかみしめようと伝えました」(池田監督)

 第2戦の韓国戦で引き分けた後、日本戦への取り組みを尋ねられた中国のシュイ・チンシャ監督は「秘密。内緒です」と含み笑いをしながら、答えていた。この指揮官が就任してから、中国はリードされてもゲーム終盤に二枚腰を使うシーンが多くなった。

 先述のアジアカップでは3戦連続逆転勝利など、強さを発揮。今大会の韓国戦でも押されながら、選手交代を挟み、徐々に流れを引き寄せ、追いついてのドローで最終戦に望みをつないできた。

 なでしこジャパンは、そんなアジア最大のライバルに、最後まで主導権を与えることなく、ビクトリーロードを走った。
 
 この日は、高橋はな(浦和L)と宝田沙織(リンシェーピング/SWE)が、CBのコンビを組んだ。中国の2トップは、2月の対戦では出場しなかった7番のワン・シュアンと、チーム事情でCBを務めていたワン・シャンシャンの2人。特にワン・シャンシャンは、前線でのポストプレーがうまい。チームで唯一3戦連続先発を果たした宝田らは、これをしっかりと迎撃した。

「試合に関わることができて良かったと思いますし、自分が後ろから引っ張っていこうというのを意識してやれた。海外遠征では、なかなか試合に絡むことができず、悔しい思いがあったので、このまま残っていけるようにアピールしたい思いがありました」(宝田)

 韓国戦では、CBが弾き返した後のボールを拾われ、波状攻撃を受けるシーンが目についたが、この日はイーブンボールの回収率で相手を大きく上回った。長野風花(ノースカロライナ・カレッジ/USA)が「中国の選手はフィジカルが強く、背も高い」と警戒していたが、1対1の勝負でも引けをとらなかった。

 それどころか、アプローチに来る人数の差で、一つひとつの勝負を制していく。宝田同様に、スウェーデンから参戦した林穂之香(AIKフットボール/SWE)は、その違いをこう語る。

「韓国戦の時はセンターバックが跳ね返してくれたボールを、中盤で回収しきれなかった。今日は90分間を通じて、日本が回収できた。放り込まれることが分かっていたので、互いの距離感に気をつけて、常に声をかけあって『ふわっ』としないように意識した。その声かけで変わったところもあると思います」
 

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