マリノス喜田拓也史上“最高”はこれから。「“こいつがいたらチームは勝つな”っていう存在でありたい」

2022年07月27日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

鹿島とのビッグマッチでも、その雄姿を見たい

今季でプロ10年目を迎えた喜田。「チームを勝たせないと、自分の存在価値はない」と表情を引き締める。写真:徳原隆元

 5月25日に行なわれたJ1第15節の京都サンガF.C.戦で、横浜F・マリノスの喜田拓也が負傷。右股関節内転筋肉離れで、全治には2か月を要する診断だった。

 ただ、予定よりも早くチーム練習に合流。無理はせず「患部の状態を見ながら、慎重に進めている」。7月30日にはJ1第23節の鹿島アントラーズ戦が控える。首位に立つ横浜が、勝点5差で迫る2位の鹿島をホームに迎える大一番に向け、トリコロールの8番は「(出場に関しては)なんとも言えない状態。できるだけのことをやって頑張ります」と出場に意欲を示す。

"アタッキング・フットボール"を標榜する横浜の重鎮だ。2018年にアンジェ・ポステコグルー監督(現・セルティック監督)が落とし込んだ超攻撃サッカーは、指揮官がケヴィン・マスカットに代わっても受け継がれ、確固たるチームカラーに。18年当時から主軸としてチームを支える喜田の存在と貢献度は、誰もが認めるところだろう。

 揺るぎない礎が築かれるなかで、少なくない選手がチームを去った一方、新たに加わった選手もいる。そのなかで喜田は横浜で戦い続け、「このクラブにいれる幸せを感じている」と充実感を口にする。だが「好きだとか、このクラブに特別な想いがあるからとか、それだけでいるわけではない」とも言う。

「勝たせるためとか、チームがより良くなるために必要な存在でなければならない。チームや仲間に信頼される選手でなければならないとは常に思っている」

 だからこそ、自らに課されていることに真正面から向き合う。

「たくさんの道のりを歩んできて、それを見てきた自分には、伝えなければいけないこともある。背負わなければいけないものが、もし多くなるなら、それを背負いきるつもりでいる。それに押しつぶされず、自分がチームをより大きくしていったり、頼もしい仲間たちと、より魅力あるクラブにしていきたい」

 もっとも、独りよがりに奮闘しているわけではない。

「僕が感謝しなければいけない、幸せに思わなければいけないのは、新しく加わってくる仲間たちは、前からいる仲間たちと同じく、人間的にも選手としても、非常に優れた人たちばかり。自分ひとりでやっている感覚はないですし、みんな協力してくれて、みんながそれぞれの良さ、想いを表現、発揮してくれている。そこは本当に頼もしく感じている」
 
 深い信頼を寄せるチームメイトに刺激を受けながら、喜田自身もまた進化を続けているはずだ。8月には28歳を迎える。プロ10年目。選手として脂が乗ってくるタイミングで、さらなる成長が楽しみなひとりだ。

「チームにもたらせるものは、もっともたらしていかないといけない。まだまだこれから」と意気込む喜田は、どんなキャリアを描いているのだろうか。

「すべてのプレーのクオリティはもっともっと上げていきたいし、そういう詳細を語り出せばキリがないけど、大きなところで言えば、"こいつがいたら、なんか分からないけどチームは勝つな"っていう存在でありたい。理由が分からなくても、僕の中にその答えがあったり、チームの中にその答えがあれば、全然いいと思う。やっぱり、チームを勝たせる存在にならないと、自分の存在価値はないと思うので。

 もちろん、プレー中もいろんなことを考えたり、プレーのクオリティを上げていく努力は日々している。それもやりつつ、"こいつがいると勝つな"という印象に、そういう記憶に残る選手にならないといけない。チームに関わる人たちや仲間に信頼される選手でありたいなとはずっと思っている。そこはしっかりと追及していきたい」

 喜田拓也史上"最高"はまだこれから。今季のタイトルレースを左右する鹿島とのビッグマッチでも、その雄姿を見たい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

[試合情報]
明治安田J1リーグ第23節
リミックスでんきDAY
横浜F・マリノス vs.鹿島アントラーズ
2022年7月30日(土)19 時キックオフ/日産スタジアム
DAZN独占配信

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