【岩本輝雄】攻めあぐねた中国戦。人数をかけて守る相手を切り崩すための2つの有効策

2022年07月26日 岩本輝雄

前に行けるけど、行かない。急がない

攻めあぐねた中国戦。引いて守る相手を少しでも釣り出せれば、ギャップで受けるのが上手い脇坂(写真)とかもより生きてくるだろうね。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[E-1選手権・第2戦]日本0-0中国/7月25日/豊田スタジアム

 E-1初戦で香港に6-0で大勝した日本は、続く中国戦は0-0。攻めに攻めたけど、もう一押しが足りなかったのか、最後まで1点が遠かったね。

 ただ、あれだけ引いた相手と戦えたのは、経験を積むという意味では、逆に良かったのかもしれない。それは考え方しだい。中国の選手たちも、かなり本気度の高い戦いをしてくれたのも、日本にとっては良かったと思う。

 選手個人で見れば、野津田にはもう少し、大胆にやってほしかったかな。プレーによく絡んでいたし、アグレッシブに戦う姿勢を見せていた。でも、セーフティなパスも目についた。正確にやろうとしているのだろうけど、リスクをかけてでも強気に縦パスをもっと狙っても良かったと思った。そのセンスも技術もある選手だから、次に期待したいね。

 人数をかけて守ってくる相手をどう崩すかという点で、この日の日本は課題があったと思う。ひとつの打開策として、前から言っていることだけど、高さのあるFWがひとり欲しいよね。

 連動したパスワークで崩そうとするのもいいけど、それで手詰まりになるなら、シンプルに長いボールを入れて、ガツンと高さで勝負する。一発で決まればいいし、競り合いになって混戦になれば、何かが起こるかもしれない。意外と点が入りそうなシチュエーションになると思うんだよね。

 たとえば、アーリークロスを連続させて、いくつかチャンスにつながれば、さすがに相手も蹴らせないようにと、前に出てくる。そうなればスペースができてくるから、地上戦に切り替えればいい。高さを強調したアタックは、そういう効果もある。
 
 引いた相手を前に出させるには、他のやり方もある。中国戦の日本は敵陣でのプレーが多かったけど、逆に言えば、ちょっと一本調子だったかもしれない。

 攻めあぐねるようなら、無理に攻めない。全体のラインを10メートルぐらい下げて、少し様子を見る。昔のバルサがよくやっていた感じだよね。前に行けるけど、行かない。急がない。ゆっくりとパスを回しながら、少しでも相手の陣形に穴があいたら、誰かがそこにすっと入ってパスをもらう。そうすると、どこかがズレてくるから、今度はそこを狙う。

 自分たちでボールを握れる状況なら、アタックの強弱をコントロールして、いかに敵の守備陣形に穴をあけるかは、ひとつの手だと思うね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、50歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを観戦&研究する日々を過ごす。

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