【U-15日本代表】17-0からでは伝わらない真実 初戦5得点の久保建英が先発の座を掴むまで

2015年09月17日 川端暁彦

森山佳郎監督は徹底して「戦え」と要求。

初戦で5ゴールを挙げ、非凡な才能を見せつけた久保。しかし、チーム合流当初から先発の座を与えられていたわけではなかった。(C) Getty Images

 日本が2大会ぶりのU-17ワールドカップ出場を懸けて戦うU-16アジア選手権の一次予選が9月16日に開幕。大会に臨んだU-15日本代表は、初戦で久保建英の5得点、宮代大聖の3得点などで17-0と圧勝している。元バルセロナユースの久保が注目を集めるチームだが、一体U-15日本代表とはどのようなチームなのか。
 
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 U-15代表への招集当初から久保建英が中心選手だったかと言えば、そうではない。そもそも森山佳郎監督には、ワンマンチームを作る意図はなかった。
 
 今年に入って日本協会は各世代代表のベクトルを揃えようとしているが、そこに久保が育ったバルセロナのカラーは薄い。基軸としたのは攻守の切り替えが素早く、球際で戦い、果敢にゴールを狙う姿勢を継続すること。8月の合宿ではブラインドサッカーを体験させ、「チームメートへの思いやりを持つことや、サッカーへ取り組む姿勢を大事にしてほしい」(森山監督)とメッセージを送った。
 
 そうしたベースの上に、「武器を持て」と強調するのが森山監督のスタイルだ。「システムなんて関係ない」と語る猛将の下で、2000年生まれ以降の選手で構成される"00ジャパン"は構築されてきた。
 
 切磋琢磨を重ねながら中軸と言える存在になったのが、CBとボランチを兼務する大型プレーヤーの瀬古歩夢や天賦のパスセンスに加え、守備も向上してきた平川怜、技巧派FWの宮代大聖であり、久保ということになる。
 
 平川も宮代も当初はハードワークに物足りなさを抱え、指揮官から徹底して「戦え」という要求を受けてきた。久保もまた「ゴール」という部分では傑出した個性を示しつつも、守備面ではウィークポイントが多く、当初は専ら控え組で起用されていた。

次ページ半年で守備への意識と意欲が劇的に向上した久保。

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