核心を突く元日本代表FWの言葉
チームが振るわなかった中国戦で、相馬のドリブル突破はひとつの希望に見えた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)
ひと言で、つまらない。E-1選手権で中国と引き分けた日本のパフォーマンスは文字通り最悪だった。特に前半は見るに堪えない内容で、正直、その前半はハイライトなどひとつもなかったと言ってもいいだろう。
深刻なのは頼れるCFの不在だろう。5バックで引いた中国にほとんど恐怖を与えられなかった点で、そこが気掛かりに映ったのだ。最前線で攻撃の起点を作れない状況は6月のブラジル戦やチュニジア戦と同じで、それこそカタール・ワールドカップで致命的な弱点になり得る。結局はベテランの大迫に頼らざるを得ないのか、というのが現状で導き出された結論である。
森保体制下でのCFには前線より少し降りた位置でのポストプレーも求められる印象だ。その点で、タイプ的に古橋や浅野、2トップのほうが光りそうな上田などにポストプレーヤー的な役割を期待するのは酷か。この日の中国戦で先発出場した細谷も、引かれた相手に仕事らしい仕事ができなかった点(後半の決定機は決めたかった)で未知数と言える。
もちろん、中国からゴールを奪えなかったのはCFのせいだけではない。ピッチコンディションの影響もあるだろうが、試合終盤に差し掛かるまでチームの連係は良くなかったし、個人のパフォーマンスを見ても"スマートに崩そう"という印象があった。形にこだわらず、もっとガムシャラに、少し無謀な仕掛けでもいいから、点を取る気概を示してほしかった。
深刻なのは頼れるCFの不在だろう。5バックで引いた中国にほとんど恐怖を与えられなかった点で、そこが気掛かりに映ったのだ。最前線で攻撃の起点を作れない状況は6月のブラジル戦やチュニジア戦と同じで、それこそカタール・ワールドカップで致命的な弱点になり得る。結局はベテランの大迫に頼らざるを得ないのか、というのが現状で導き出された結論である。
森保体制下でのCFには前線より少し降りた位置でのポストプレーも求められる印象だ。その点で、タイプ的に古橋や浅野、2トップのほうが光りそうな上田などにポストプレーヤー的な役割を期待するのは酷か。この日の中国戦で先発出場した細谷も、引かれた相手に仕事らしい仕事ができなかった点(後半の決定機は決めたかった)で未知数と言える。
もちろん、中国からゴールを奪えなかったのはCFのせいだけではない。ピッチコンディションの影響もあるだろうが、試合終盤に差し掛かるまでチームの連係は良くなかったし、個人のパフォーマンスを見ても"スマートに崩そう"という印象があった。形にこだわらず、もっとガムシャラに、少し無謀な仕掛けでもいいから、点を取る気概を示してほしかった。
中国戦での日本の体たらくを受け、思い出したのが元日本代表FWの岡野雅行氏の言葉。E-1選手権の香港との初戦で著者と一緒に仕事をした岡野氏は「もっと気持ちを見せる選手がいてもいいですよね。阿呆になっていいんですよ」と言っていたのだ。ポジションに関係なく、とりあえずボールに向かってバーっと走る。そうやって、「こいつはなんなんだ」と敵チームに思わせ、同時に「やってやるぞ」と味方チームに喝を入れるパフォーマンスをやるべきだと、同氏は熱く語ってくれたのだ。「阿呆になれ」、これは核心を突くひと言ではないだろうか。
その意味で、中国戦で唯一「阿呆」になっていたのが、途中出場の相馬だ。終盤の81分に左ウイングとして投入されると、躍動感あふれるドリブル突破から好機を演出。少し厳しいシチュエーションでも恐れず、ガンガン仕掛けるスタンスにはとにかく好感が持てた。
2ゴールを奪った香港戦に続き、中国戦でも確かな存在感を放った相馬。続く韓国戦でも活躍すれば、9月の代表戦(対戦国はアメリカとエクアドル)にも呼ばれるかもしれないという期待感を高めている。
カタール・ワールドカップのメンバーに選ばれる可能性がある状況下で何がなんでも自分をアピールする。それを中国戦で実践できたのは、相馬ひとりだった。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
【E-1選手権PHOTO】日本0ー0中国|粘り強い守備に手を焼きスコアレスドロー…!27日に首位・韓国との優勝決定戦に臨む
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その意味で、中国戦で唯一「阿呆」になっていたのが、途中出場の相馬だ。終盤の81分に左ウイングとして投入されると、躍動感あふれるドリブル突破から好機を演出。少し厳しいシチュエーションでも恐れず、ガンガン仕掛けるスタンスにはとにかく好感が持てた。
2ゴールを奪った香港戦に続き、中国戦でも確かな存在感を放った相馬。続く韓国戦でも活躍すれば、9月の代表戦(対戦国はアメリカとエクアドル)にも呼ばれるかもしれないという期待感を高めている。
カタール・ワールドカップのメンバーに選ばれる可能性がある状況下で何がなんでも自分をアピールする。それを中国戦で実践できたのは、相馬ひとりだった。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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