新加入の太田宏介が町田にとって「天の恵み」である理由。新たな化学反応をもたらせるか

2022年07月20日 郡司 聡

「ここ町田で成し遂げたいことはJ1昇格」

町田に完全移籍で加入した太田。「Z」のポーズを決める。(C)FCMZ

 7月20日、三輪緑山のクラブハウスで行なわれた太田宏介の加入会見に同席した唐井直GMは、大きな期待を込めてこう言った。

「現状は8位という成績だが、チームはほぼプレーオフ圏をキープしている。そんなチームにいよいよ昇格に向けた最後のピースが加わる」

 J1昇格への"ラストピース"――。

 トップ3とは勝点差で水を開けられ、現状はプレーオフ圏を行ったり来たりしている町田に、昇格に向けた切り札が加わった。

 今夏の新戦力として、三顧の礼を持って迎えられた太田も、自身に託された役割を十分に理解している。「ここ町田で成し遂げたいことはJ1昇格」。会見の中でそう言い切った。
 
 太田はもともとクラブのルーツにあたるFC町田の出身選手。彼が育成年代の時代は、まだ町田のトップチームがJリーグに参入していなかった。そのため、地元に受け皿となるプロクラブは存在しなかったが、町田も2012年のJリーグ参入から今日に至るまで、紆余曲折を経ながら、J2に定着。J1ライセンスも取得し、今年はクラブハウスも完成した。今季は「3年以内にJ1を目指せるチーム作り」(唐井直GM)を旗印に掲げた3か年計画の最終年。本格的にJ1昇格を目指すシーズンも残り15試合となったタイミングで、地元帰還を果たすことになった。

 町田にとっては、単純な戦力という意味でも、"待ち人"だ。SBのレギュラー格である三鬼海が怪我による長期離脱中であるため、計算が立つSBは翁長聖と奥山政幸のみ。ただでさえ人材が不足しているポジションに、ひとつの貴重な駒が加わる格好だが、太田の加入は単純な足し算にはとどまらない。左足のキックというスペシャルな武器を持つレフティは、本職のSBだけではなく、試合展開次第ではサイドハーフ起用も想定できる。

 このように、現状のチーム編成上、SBとサイドアタッカーは、決定的に選手が不足しているポジション。それをハイレベルで埋められる選手が加入する効果は計り知れない。待望のクロッサー加入に対して、鄭大世は「天の恵みがやってきた」と手放しで喜んでいる。

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