武藤、同点弾は逃すも真価は発揮——シャルケ 2-1 マインツ

2015年09月14日 遠藤孝輔

76分の至近弾を決めていれば…。

シンプルにパスを捌いてリズムを生みつつ、DFラインの背後を突いてゴールに迫った武藤は、前線からのプレスでも貢献。同点ゴールを逃し、チームは敗れたが、十分に持ち味を発揮したと言えるだろう。 (C) Getty Images

 シャルケの本拠地フェルティンス・アレーナに乗り込んだマインツは、立ち上がりからエンジン全開。それを象徴したのが開始1分にGKのキックミスを誘った武藤のプレッシングで、自陣の深い位置に引くのではなく、前から積極的にチェイシングして、主導権を握ろうとする意図をはっきりと示していた。
 
 そのアウェーチームにとって頼もしい存在となっていたのが、ビッグセーブを連発した守護神カリウスだ。4分にフンテラールのPKをストップすると、10分にはマイヤーのドリブル突破からのシュートを弾き出し、その9分後には味方の足に当たって軌道が変わったボールを間一髪でゴールの外へとかき出した。
 
 三度の失点危機を免れた一方で、相手ゴールにも迫った。その攻撃のキーマンとなったのが武藤だ。
 
 15分、前線でボールを収めると巧みに前を向いて、スピードに乗ったドリブルでエリア内まで侵攻。32分には鋭いフォアチェックでボールを奪い、変則2トップの相棒であるマッリにラストパスを送り、惜しいチャンスを演出した。
 
 攻守の両局面で奮闘するマインツにやや苦戦を余儀なくされるも、37分、シャルケがついに均衡を破る。昨シーズンまで所属した古巣との対戦に燃えるMFガイスの右CKにマティプがヘディングで合わせて、待望の先制点を奪取したのだ。
 
 それでもシャルケは流れを引き寄せるには至らず、マインツがその5分後に同点ゴールを奪う。
 
 中盤でボールを奪取したラッツァがドリブルで持ち上がり、DFラインの裏へ鋭く飛び出した武藤へスルーパスを送る。その武藤から横パスを受けたクレメンスがポスト直撃弾を放ち、最後はゴール前に詰めていたマッリが押し込んだ。
 
 一進一退の攻防が繰り広げられた前半を経て、後半は地力に勝るシャルケが主導権を握る時間が長くなる。疲労からかプレスが効かなくなったマインツに対し、61分、フンテラールが大仕事をやってのけた。
 
 マティプの縦パスをカットしきれなかった敵CBと入れ替わり、ゴールのやや右手前から豪快に右足を振り抜いて、PK失敗の汚名を雪ぐシュートを突き刺したのだ。
 
 結局、エースのこの意地の一発が決勝ゴールとなり、シャルケが5位に浮上する貴重な3ポイントを積み上げた。
 
 武藤個人の働きに言及すれば、2ゴールを挙げた前節に続き、改めて真価を発揮した印象だ。オフサイドラインを何度か突破して相手守備陣に冷や汗をかかせれば、ボール保持時はシンプルな捌きで、チームの攻撃にリズムをもたらしていた。
 
 76分に訪れた至近距離からのシュートチャンスをモノにしていれば、カリウスや中盤でボールハントに精を出していた主将バウムガルトリンガーと並ぶ、マインツ最大の殊勲者として称えられていたはずだ。
 
文:遠藤孝輔
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