【FC東京】神戸戦でハットトリック。前田が呟いたチームワークの良さを確信させたひと言

2015年09月13日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

神戸が攻め込めば攻め込むほど、FC東京の思う壺だった。

代表帰りの森重は、疲れを感じさせないプレーで敵の侵入を阻止。さすがの貫録を見せつけた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 立ち上がりから神戸に押し込まれながらも、まるで微動だにしない。割り切って守るスタンスでゴール前に強固な壁を築き、「自分たちの時間帯になるまで待った」(米本)。

【順位表】第2ステージ・10節終了時

【J1 PHOTOハイライト】2ndステージ・10節
 
 そして38分、その米本が絶妙なタックルで敵を潰すと、こぼれ球を拾った高橋がそのままドリブルで持ち上がった後にスルーパス。エリア内でボールを受けた前田が右足を思い切り振り抜いた。
 
 文字通りのカウンターで先制したFC東京は、同点に追いつこうと前掛かりに神戸を手玉に取るかのように、DFの裏のスペースを巧みに活かして次々とチャンスを作る。
 
 神戸が攻めてくれば攻めてくるほど、堅守速攻が売りであるFC東京の思う壺。結局、前田のハットトリックで3‐0としたホームチームが盤石に近い試合運びで完封勝利を飾った。
 
 抜群の決定力で09年10月(名古屋戦)以来のハットトリックを決めた前田はもちろん、神戸のどんな攻撃にも動じなかった中盤と守備陣の働きが素晴らしかった。
 
 米本と羽生の両インサイドハーフはまるでスッポンのように食らいつき、アンカーの高橋、代表帰りのCBコンビ──森重と丸山はイラン遠征の疲れを感じさせない力強いディフェンスで敵の突進を止めた。
 
 2ライン(MFとDF)間にスペースが生じた時はトップ下の河野が全力疾走で帰陣。SBの徳永と太田は激しい上下動でサイドからの侵入を許さず、JリーグにデビューしたGKアブラモフも4バックと連係しながらゴールに鍵をかけた。つまり、この日のFC東京はチームとしてひとつになっていた。
 
 途中出場の東がすんなり試合に入って、2アシストを決めることができたのもチーム戦術を理解し、実践する力があったからだろう。誰が出場しても戦い方がぶれない強さが今のFC東京にはある。
 

次ページ先制した17試合で16勝。必勝パターンが確立されているだけに…

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