【J1採点&寸評】山形×広島|佐藤のメモリアル弾はお預けも、広島が充実の勝利! ステージ・年間勝点でともにトップに

2015年09月12日 小田智史(サッカーダイジェスト)

ディエゴの先制弾までは良かったが、PK失敗、カウンター被弾と最後は自滅。

【警告】山形=小椋(48分) 広島=ミキッチ(77分)
【退場】なし
【MAN OF THE MATCH】林 卓人(広島)

【試合内容】
 試合は序盤、ハイプレッシャーを仕掛けた山形がペースを掴む。5分、宮阪の直接FKは惜しくもバーを叩くが、コンパクトな陣形を保って広島にチャンスを作らせない。35分にはセカンドボールを拾うと、カウンターを発動。アルセウ→R・フランクとつなぎ、最後は長距離を駆け上がったディエゴが締めて先制する。
 
 しかし、広島も徐々に攻撃の圧力を強め、サイドから突破口を開く。39分、ドウグラスとのワンツーで抜け出したミキッチが鋭い切り返しから左足を一閃すると、シュートはそのままゴールネットを揺らし、同点に追い付いて前半を折り返す。
 
 後半は一転してカウンターの応酬に。60分、広島はドウグラスが速攻からのミドルシュートで山形のゴールをこじ開けると、78分にはGK林がPKを止めて流れはさらに広島に傾く。直後のCKのこぼれ球を拾った浅野が自陣から独走して冷静に流し込み、ダメ押しの3点目。
 
 佐藤のJ1通算最多得点こそ生まれなかったが、広島が試合巧者ぶりを見せ付け、敗れた鹿島を抜いて年間勝点1位を守るとともに、第2ステージ首位に返り咲いた。

【順位表】第2ステージ・10節終了時

【J1 PHOTOハイライト】2ndステージ・10節
 
【チーム採点・寸評】
山形 5
チームとしての意思統一がなされ、主導権を握った時間帯があったのは事実。それでも自分たちのミスから相手に流れを明け渡し、リーグ戦15試合勝ち星なしに終わった厳しい現実を重く受け止めなければいけない。
 
広島 6.5
「厳しい試合になることは予想していた」とは指揮官の弁。ただ、先制点を与えた直後に同点弾を奪い、ドウグラスと浅野のゴールで逆転勝利を飾る試合巧者ぶりを見せた(逆転勝利は今季5度目)。柴﨑の復帰など今後の戦いへの好材料も見逃せない。
 
【山形|採点・寸評】
GK
1 山岸範宏 5
同点弾を食らった場面は佐藤の飛び込みに気を取られたか、反応がやや遅れた。"山の神"をもってしても広島の勢いを止められず、悔しい3失点。
 
DF
3 渡辺広大 5.5
右膝内側側副靭帯損傷から7試合ぶりに復活。身体を張った徹底マークで佐藤こそ封じるも、コンビネーションアタックに決壊させられた。
 
4 西河翔吾 5.5
元チームメイトの佐藤を渡辺と挟んで抑え込む。ただ、相手がサイド攻撃の圧力を強めた後半は後手に回り、守備から攻撃への切り替えができなかった。
 
13 石川竜也 5.5
キック精度はさすがのひと言。R・フランクやディエゴにつける縦パスに加え、自らもオーバーラップしてクロスを供給したが、ミスからカウンターを食らう場面も。
 
MF
5 アルセウ 5
序盤は中盤のボールを拾って上手く攻撃につなげていたが、徐々に失速。ドウグラスや柴崎らにボールを奪われ、攻撃の流れをうまく作り出せなかった。
 
15 宮阪政樹 5.5
試合開始直後、狙い澄ました約25メートルのFKは不運にもバーを直撃。その後はビルドアップにも加わり反撃を試みたが、ギアを上げられなかった。
 
22 キム・ボムヨン 5
対面のミキッチと激しく火花を散らす。序盤は果敢に突破を仕掛けるも、守備に回った際にあっさり裏を取られ、切り返しで振り切られてゴールを許した。
 
24 ロメロ・フランク 6.5
序盤からハイプレッシャーをかけ、チームに流れを呼び込む。カウンターの中で上手くタメを作ってディエゴの得点を演出し、自らも強烈なシュートで相手の脅威になった。
 
26 宇佐美宏和 4.5
4節・新潟戦以来のWBで出場。スピードに乗ったアップダウンを繰り返したが、31分のボレーシュートをはじめ決定機を二度外し、ミスから3失点目のきっかけを与えたのは痛恨だった。
 
33 小椋祥平 5.5
移籍後初先発でJ1通算150試合出場に到達。中盤で青山のマークをこなすだけでなく、左サイドのカバーリングにも奔走するなど守備で奮闘したが、次第に押し込まれた。
 
FW
11 ディエゴ 6
広島の組織的な守備にチャンスを作れずにいたが、35分に電光石火のカウンターが炸裂。驚異のスピードと決定力の高さを見せつけたが、PK失敗で反撃の狼煙を消してしまった。
 
交代出場
MF
9 中島裕希 6
ワイドからするするとペナルティエリア内に侵入してミキッチのファウルを誘発。PKが決まっていればヒーローになる可能性もあったが…。
 
FW
34 高崎寛之 5.5
中央に陣取ってゴールを狙うも、決定的な仕事をできず。スピードに乗ったフリーランニングを見せていただけに、縦パスが上手く入らなかったことが悔やまれる。
 
FW
8 林 陵平 -
2点ビハインドの劣勢で登場。ディエゴと2トップを形成したが、相手に押し込まれる時間が長く、持ち前の高さを活かせなかった。
 
監督
石﨑信弘 5.5
ハイプレッシャーとカウンターのコンビネーションで広島に対抗。自分たちのスタイルを貫く姿は見ていても心地良かったが、一つひとつのクオリティの差は埋められなかった。

次ページ林のスーパーセーブがチームを立て直し、浅野のカウンターを呼ぶ。

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