【番記者通信】生贄にされたクレバリーの暗転|マンチェスター・U

2014年03月21日 マーク・オグデン

「W杯に招集するな」の嘆願書が1万7000通に達し…

チーム不振のスケープゴートにされたクレバリー。ユナイテッドでの未来はもはやないか。 (C) Getty Images

 思わぬ形で注目を集めているのが、トム・クレバリーだ。チーム不振の元凶として、サポーターから容赦ないバッシングを浴びているのである。

 たしかに、クレバリーのパフォーマンスに及第点はつけられない。パスでも守備でも存在感を示せず、サポーターは「追放キャンペーン」をネット上で展開。イングランド代表からの除外運動へと広がり、「ブラジル・ワールドカップに招集しないでくれ」との嘆願書が1万7000通に達して話題となった。誹謗中傷に嫌気がさした本人は、自身のツイッターアカウントを閉鎖した。

 これまでユナイテッドは、批判の矢面に立たされた選手を擁護してきた。エリック・カントナ、デイビッド・ベッカム、ロイ・キーン、クリスチアーノ・ロナウドなど。アレックス・ファーガソン前監督は彼らへの深い寵愛を示すことで、メディアやサポーターの批判をかわし、選手たちを守り通したのである。

 デイビッド・モイーズ監督も、クレバリーに新契約を提示することで信頼を示そうとはしているが、その効果はどれほどのものか。クレバリーのユナイテッドでの未来は闇に包まれたままだ。

 奇しくもクラブは、クレバリーのポジション、すなわちセントラルMFの補強に動いている。昨夏にマルアン・フェライニが加わり、さらに新しい選手がやって来るとなれば、クレバリーの出番はますます減るはずだ。新契約を結んだところで、定位置は保証されない。

 ユナイテッドとの契約を更新するか否か。今年の8月で25歳になるクレバリー本人にとっても、今後のキャリアを左右する重要な決断になる。選手として一皮むけるためには、新天地を求めるのはひとつの手だろう。

【記者】
Marc OGDEN|Daily Telegraph
マーク・オグデン/デイリー・テレグラフ
英高級紙で最大の発行部数を誇る『デイリー・テレグラフ』のユナイテッド番を務める花形で、アレックス・ファーガソン前監督の勇退をスクープした敏腕だ。他国のサッカー事情に通暁し、緻密かつ冷静な分析に基づいた記事で抜群の信頼を得ている。

【翻訳】
田嶋康輔
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