【番記者通信】すべてが決まる運命のクラシコ|バルセロナ

2014年03月21日 ルイス・マルティン

タタと選手たちは単身、ベルナベウに乗り込む。

覇権の行方、そしてこのマルティーノ監督(手前)の去就……、3月23日のクラシコがすべてを決めることになるだろう。 (C) Getty Images

 バルサはリーガの覇権をかけて、サンチャゴ・ベルナベウに乗り込む――。

『タイトルはクラシコでは決まらず、格下との試合で決まる』との格言がある。そう、バルサが今シーズンの優勝を逃せば、アノエタでの不覚が敗因として取り上げられるだろう。敵地アノエタで1-3の完敗を喫した、25節のレアル・ソシエダ戦が痛恨だった、と。とはいえ、クラシコが優勝争いに決定的な影響を及ぼすのは間違いない。少なくともここ数年はそうだった。

 ジョゼップ・グアルディオラ監督時代、バルサはほぼ常に優位な状況でクラシコを迎えていた。それが、いまはマドリーを追いかける立場にある。バルサにとって、勝つしかない状況だ。タタ・マルティーノはここまで慎重な姿勢を崩さず、その姿はまるでブレーキペダルに足をかけながら車を運転しているようでもある。このクラシコでは、最初からアクセルを全開にしてマドリーにぶつかっていかなければならないだろう。タタにとってこれが初めてのベルナベウでの試合だが、相手へのリスペクトなど一切捨てて挑むべきなのだ。

 そのタタに対して、周囲はリスペクトを欠いてきた。記者会見での質問の話ではない。カタルーニャのメディアの馬鹿げた批判に嫌気がさすのは分かるが、それも監督の仕事のひとつだ。愚かしい記者に耐えることが、だ。問題は、誰もそれをタタに教えなかったことかもしれない。8人の新監督候補の名前を1面トップに掲げた『スポルト』紙を、タタは気にせず、ただ笑って見ていればよかったのだ。

 クラブがいま、気にしているのは、スタジアム改修計画の是非を問うソシオの投票だ。そのために、チームに目が向かず、タタと選手たちはいわば、単身ベルナベウへと乗り込んでいく。

 覇権の行方、そして不透明なタタの去就……。3月23日の日曜日、ベルナベウでの結果がすべてを決めることになるだろう。

【記者】
Luis MARTIN|El Pais
ルイス・マルティン/エル・パイス
スペインの一般紙『エル・パイス』のバルセロナ番とスペイン代表番を務めるエース記者。バルサの御用新聞とも言えるスポーツ紙『スポルト』の出身で、シャビ、V・バルデス、ピケらと親交が厚く、グアルディオラ(現バイエルン監督)は20年来の親友だ。

【翻訳】
豊福晋
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