フワッと浮いて、静かに着地。規格外の“しなやかな”日体柏のオウイエ・ウィリアム、FW歴は約半年も世代屈指のストライカーに絶賛成長中

2022年06月28日 安藤隆人

まるでハイブリッドカーのようなプレーが魅力

SB→CB→ボランチ、そしてFWにコンバートされたオウイエ。「FWになったときは『ついにきたか』と思いました」。写真:安藤隆人

 FWを始めてからわずか半年で、世代屈指のストライカーになろうとしている。

 ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ日体柏のFWオウイエ・ウィリアムは、190センチのサイズに加えて、しなやかな身のこなしと正確かつ強烈な左足を武器に、最前線で一際存在感を放つストライカーだ。

 準優勝に終わったインターハイ千葉県予選で、オウイエは大きく成長した姿を見せた。準決勝の流通経済大柏戦では、前線でターゲットとなり相手の強烈なプレスを受けながらもボールをしっかりと収めて、周りのアタッカー陣に良質なボールを供給。自身もスプリントでゴール前のスペースに潜り込むなど攻撃の引き出しの多さを披露した。

 2-0のリードで迎えた71分には、カウンターからゴール前左で味方のパスを正確にトラップし、フィニッシュポイントに置いて、素早くシュート。逆サイドのネットに突き刺す鮮やかなゴールで、チームの勝利を決定づける3点目を奪った。

 市立船橋との決勝でも高さとしなやかさ、そしてパスの精度を駆使して前線で起点となった。1−1で迎えた46分には左CKからニアサイドで高い打点のヘッドを鮮やかに突き刺して、逆転ゴールをもたらした。
 
 チームはその後追いつかれ、延長戦の末に2-3で敗れたが、プレミアリーグに所属する『2強』から立て続けに奪ったゴールは、オウイエの能力の高さを示す証拠となった。

「ボールを収めることを特長としてやっています」

 こう語るオウイエのプレーを見ていると、ジャンプの質、着地の柔らかさ、次のプレーへのスムーズな移行に目が行く。大型FWにありがちな「硬さ」がないのだ。力強く飛んで、ドスンと着地するのではなく、フワッと浮いて、静かに着地する。そして着地した瞬間に身体が動き出しているから相手DFは反応しきれない。軽やかで滑らか。まるでハイブリッドカーのようなプレーが大きな魅力だ。

 中学時代は川崎フロンターレU-15でプレー。長身で左利きというのもあり、左SBでプレーしていたが、中3の時に怪我がちになり、思うように試合に出られなかった。結果、U-18に昇格できなかった。
 

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