FC東京内定MFを擁する“埼玉の技巧派集団”昌平が3大会ぶりに総体出場! 全国を逃した昨季にはなかった「第3の強み」とは?

2022年06月20日 河野 正

苦しみながら決勝に進出

3大会ぶり4回目のインターハイ出場を決めた昌平。写真:滝川敏之

 全国高校総体(インターハイ)サッカーの埼玉県予選は19日、NACK5スタジアムで昌平と東京成徳大深谷による初顔合わせの決勝が行われ、前者が2-1で競り勝ち、3大会ぶり4度目の優勝。徳島県で開催される本大会(7月24~30日)への出場を決めた。

 プリンスリーグ関東1部で暫定首位の昌平は、レギュラー陣に故障者などが重なり、本来の顔触れとは異なる陣容で臨んだ。今大会初出場のFW平叶大(2年)が1トップを担当し、左MFに佐々木小太朗(3年)、CBには準決勝に続いて今井大翔(3年)が先発に名を連ねた。
 
 昌平は初戦となった3回戦こそ浦和東に4-0で快勝したが、準々決勝は後半アディショナルタイムの決勝点で狭山ヶ丘に辛勝し、準決勝も武蔵越生との接戦を1-0で制するなど、苦しみながらの決勝進出だった。
 
 迎えた決勝では、前半18分に先手を取った。FC東京への来季加入が内定している右MF荒井悠汰(3年)が、右からカットインして強烈なシュート。MF篠田翼(3年)がこぼれ球に反応し、豪快な先制弾を突き刺した。
 
 加点する好機は何度もあった。19分に逆襲から佐々木小太朗(3年)が長い距離を運んで打ち、31分には荒井、34分にも荒井の右からのクロスをフリーの佐々木が合わせたが、GKに捕球されるなどしてゴールを割れなかった。

【インターハイ予選埼玉県決勝】昌平2-1東京成徳大深谷|前半に2点を先制した昌平が東京成徳大深谷の反撃を1点に抑え、3大会ぶり4回目の総体出場を決める!
 決勝点となる2点目は思わぬ形で手に入れた。2分あった前半アディショナルタイムが終わりに近づいた時だ。ボランチ土谷飛雅(2年)の長いキックが敵のゴール前まで転がり、堅守を誇る成徳大深谷のCBとGKが連係ミスで処理にもたつく間、ボールを追い掛けていた平が懐に収め、右足で流し込んだ。

 普段は県S1リーグを戦うセカンドチームの主力である平を起用した理由について、昌平の藤島崇之監督は、「決してうまくはないが推進力があり、粘り強く動いてくれる」と説明。この言葉通り、粘っこくひたむきにボールに向かう姿勢がゴールを呼び込んだ。

 試合会場に到着してから先発を聞かされたという平は、「練習から(守備の)裏に走っていますし、相手の守備ラインが高かったので狙っていました」と喜び、「先発は緊張したがうれしかった。これで弾みをつけ、プリンスリーグにも関われるように頑張りたい」と意気軒高だった。
 

次ページ「リーグ戦ではこういう戦い方はしないかもしれないが、きょうは勝負にこだわった」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事