C大阪との契約を解除した乾貴士が、６月15日からファジアーノ岡山に練習参加している。その経緯は、スペインでプレーしていた乾を訪れて木山隆之監督が練習を見学にしたことが発端だった。

　原靖強化部長は「木山さんと乾君の友情から始まった話だったね」と、相好を崩して経緯を説明した。「木山さんからクラブの方に申し入れがあって、我々もフットボーラーの仲間に機会を与えるのはやぶさかではないんで、ウチがJ１昇格を狙っている状況にあることを本人にも理解してもらって参加してもらうことになりました」。

　クラブがオフィシャルサイトで『本練習参加は、契約を前提としたものではございません』と断言している通り、オファーを提示しているわけではない。15日の練習を終え、木山監督は「我々にも刺激になるし、彼も次のステップに向けて身体を動かす時間になったと思う。今後もそういうふうになればいい」と話した。

　岡山の練習に参加するため黒髪に染めてチーム練習を行なった乾は、練習後にメディアの取材に応じて「良い雰囲気のチームで練習できて良かったです。本当に感謝しかないです」と言い、「とにかく今はこのチームでコンディションを整えることと、このチームにちょっとでも貢献できればいいかなと思っています」と話した。
 

　この２か月を、葛藤の中で過ごしてきたことも口にしている。

「いろんな想いがあったので、苦しくなかったと言うとそれは嘘になります。サッカーを辞めようかなっていうところまで考えましたけど、自分はサッカーしかないっていうのがあったのと、息子にまだ辞めんといてって言われたので。ただ、セレッソに対して今はもう感謝しかないですし、もう切り替えて次のところで頑張りたいなと。あとは、もう一度サッカーを楽しくやりたいなっていう想いです」

　今後については「本当に全く決まっていない」とのこと。

　６月２日に34歳になった乾は、まず岡山でコンディションを取り戻して新たな一歩を踏み出していく。

取材・文●寺田弘幸（フリーライター）

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