チュニジア戦で枠内シュート0本、3失点。これが現実で、日本の限界か【コラム】

2022年06月15日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

日本は普通に弱かった

複数失点に絡んだCB吉田。ただ、守備陣の崩壊以上にノーゴールに終わった点が気がかりだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 0-3と日本が完敗を喫したキリンカップ決勝で何より際立ったのは、チュニジアの組織的な守備。前半途中から崩されそうになった時間帯もあったが、後半に入るとマークの受け渡しが修正されて安定感を取り戻すあたりは素晴らしく、またサイドはやられても中央突破させないディフェンスは実に理に適っていた。

 秀逸だったのはチュニジアの4バックだけではない。コンパクトな陣形を保ちつつ、日本の縦へのスピードを殺すチェイシングがかなりきいていた点から判断すると、チームとしてよく守れていたという結論に行き着く。中でも日本の心臓とも言える遠藤をそれこそ組織的に封じたのが強く印象に残っており、ある意味、戦略勝ちだった。

 この日のチュニジアは個の競り合いでも強さを示し、ユニットでも日本に競り勝つ回数が多かった。前半の大ピンチ(伊東のクロスに鎌田が飛び込んだ場面)以外は完璧に崩されたシーンは皆無に等しく、チュニジアのまさしく完勝だった。
 一方で最悪だったのが日本。枠内シュート0本、3失点というデータが全てを物語るだろう。後半途中に三笘が左サイドから切り込んでも、チュニジアの中央部の守備は一向に崩れなかった。ドイツでもスペインでもなく、ワールドカップ本大会では決して強国の部類に入らないチュニジアに完敗。これが現実であり、日本の限界なのかもしれない。

 相変わらずセットプレーでゴールの予感はなく、頼みの遠藤が潰されると組み立てもままならない。日本代表戦でのカウンターからの失点は珍しいものではなく、CBの吉田がPKを献上するシーンも過去に何度か見てきた。前半のあそこで鎌田が決めていれば、というのは単なる言い訳で、明らかに力負けだった。ホームで、0−3。日本は普通に弱かった。

 ブラジル戦に続き、チュニジア戦でもノーゴールに終わった点が何より気がかりだ。ドイツ、スペインと戦うワールドカップ本大会では、そこまで主導権を握れる試合があまり想像できない。劣勢の中で少ないチャンスをどうモノにするかがポイントになるはずだが、残念ながらその手段は今なお見えてこない。CFを誰にすべきという以前に崩し方のバリエーションが少なすぎる。本大会の対戦国はきっと伊東と三笘を潰しにくる、さらに遠藤も自由にはさせないだろう。そうした中でどうゴールを奪うのか。正直、チュニジア戦ではその答が見えなかった。

 もっとも、こうした苦難を乗り越えて強いチームを作るのが監督の仕事だ。ここからが森保監督の真の腕の見せどころ。コロンビア、セネガル、ポーランドと比較的組分けに恵まれたロシア・ワールドカップと違って、今大会は過去の優勝国がふたつもいる超過酷なグループリーグを戦う。果たして、そこを突破するための戦略を立てられるのか。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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