【セルジオ越後】久保の初得点も騒ぐことじゃない。普通は代表に呼ばれないレベル。W杯のレギュラーまで道はまだ遠いよ

2022年06月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

対人では強さを発揮できず、相手を剥がすようなプレーも少なった

ゴール以外はそこまでインパクトはなかった久保。トータルで見れば、今ひとつのパフォーマンスだった。写真:塚本凛平(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 6月10日のキリンカップサッカーでガーナと対戦した日本は、4-1で勝利した。

 久保や三笘がゴールを決めて、メディア的には良かったかもしれないね。でも、この日のガーナは、同じく4-1で勝ったパラグアイと同じようなレベルだった。勝って当然の相手。興行としては盛り上がっただろうけど、勘違いしてはダメだ。

 ガーナは負けているのに後ろでボールを回しているし、後半はバテているし、パスミスも目立つし。身体能力はあるけど、戦術的に見るべきものがほとんどない。

 日本のミスをついて1点取っただけ。そういう相手だから、日本は簡単に押し込める。攻撃陣が良いパフォーマンスを見せられるのは、当たり前だと言ってもいい。

 日本が敵陣のボックス内に入っていけるのも難しくはなかった。相手ゴールにアグレッシブに迫っていくシーンを、本当はブラジル戦で見たかったんだけど……。

 そのなかでも、話題を集めるのは、やっぱり代表初得点の久保だろうね。ただ、ゴール以外ではそこまでインパクトがあったわけではない。トータルで見れば、パフォーマンスは今ひとつだった。対人では強さを発揮できず、相手を剥がすようなプレーも少ない。

 ゴールしたあとも、ちょっと照れているというか、ガッツポーズもない。その振る舞いがすべてを物語っているんじゃないかな。いくら点を取ったとしても、自分の出来に満足していなかったんだろうね。代表17試合目で初ゴール。そんなに騒ぐことじゃない。

 ひとつの区切りがついたかもしれないけど、ワールドカップでレギュラーになるまでは、まだまだ道は遠いと感じる。何よりも、所属クラブでもっとアピールしないと。昨シーズンも残留争いをしていたマジョルカの中で、存在感を示したとは言えなかった。際立つ数字を残してもいない。厳しいことを言えば、あの程度の成績なら、普通はA代表に呼ばれないよ。

 ガーナに勝った日本は、14日にキリンカップのタイトルをかけてチュニジアと対戦する。優勝すれば、日本サッカーも盛り上がるだろうし、良い流れを作れると思う。試合には誰が出るのか。久保もピッチに立ったなら、活躍を続けることが大事だと思うよ。
 
【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、76歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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