【番記者通信】躍進を下支え。補完性抜群のCBコンビ|アーセナル

2014年03月20日 ジェレミー・ウィルソン

トッテナムのクロスボールをことごとく跳ね返す。

かつては弱点とも呼ばれた2人が、躍進を支える原動力に。コシエルニー(左)とメルテザッカー(右)が抜群のコンビネーションで堅固な壁を築いている。 (C) Getty Images

「攻撃サッカーにこだわり過ぎるあまり、守備がおぼつかない」

 そんな陰口を叩かれつづけてきたアーセナルのディフェンスが、今シーズンは劇的に改善している。プレミアリーグでの失点「28」は、リーグで2番目に少ない数字だ。リバプール戦(1-5)とマンチェスター・シティ戦(3-6)で喫した大量失点のせいで守備陣への心証は悪いかもしれないが、クリーンシート(無失点試合)の数は13でリーグトップ。守備が安定しているからこそ、シーズン終盤に差し掛かったいまも、優勝戦線に踏み留まっていられるのだ。

 堅守の中心にいるのは、ロラン・コシエルニーとペア・メルテザッカーだ。昨シーズン途中からコンビを組む2人は、3月16日のトッテナムとのノースロンドン・ダービーでも力強い守備を披露。トッテナムのクロスボールをことごとく跳ね返し、チームを1-0の完封勝利に導いた。シーズンを通して隙のない守備を見せているコシエルニーとメルテザッカーこそ、アーセナル躍進の「陰の立役者」だろう。

 補完性も抜群だ。スピードに難を抱えるメルテザッカーの穴は、コシエルニーが速さと敏捷性でカバー。コシエルニーの線の細さは、メルテザッカーが強さと高さで補填している。さらにメルテザッカーの統率力が、最終ラインを引き締める。

 このCBコンビが最終戦まで最高のパフォーマンスを維持できれば、プレミアとFAカップのダブル(2冠)も夢ではないと思うが、はたして──。

【記者】
Jeremy WILSON|Daily Telegraph
ジェレミー・ウィルソン/デイリー・テレグラフ
英高級紙『デイリー・テレグラフ』でロンドン地域を担当し、アーセナルに精通。チェルシーとイングランド代表も追いかけるやり手で、『サンデー・タイムズ』紙や『ガーディアン』紙にも寄稿する。

【翻訳】
田嶋康輔
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