最強サウジに挑む大岩ジャパン。GS突破を左右する大一番、世代屈指のレフティ山本理仁がキーマンに【U-21代表】

2022年06月06日 松尾祐希

「次の試合、チャンスがあればやってやりますよ」

プレーメーカータイプの山本。自慢の左足を駆使し、ビルドアップを助ける役割を担う。写真:松尾祐希

 6月6日のU-23サウジアラビア代表戦は、グループステージ(GS)の行方を占う大一番だ。

 U-23アジアカップを戦っているU-21日本代表は、3日のU-23・UAE代表との初戦で2−1の勝利を収め、白星スタートを切った。だが、圧倒的な内容で勝ったわけではない。選手のコンディションはまだ万全とは言えず、深い芝に悩まされた結果、ボールを繋げずに泥臭く戦って勝点3を手繰り寄せた。

 アジアの強敵との戦いから中2日で迎えるGS第2戦。相手は今大会の優勝候補筆頭であるサウジ。3月下旬に行なわれたドバイカップの優勝決定戦でも対戦し、その時は日本が1−0で勝利しているものの、相手に押し込まれる展開だった。「あれだけA代表に絡んでいる選手がいるので対戦のしがいがある」と大岩剛監督が話すとおり、今回も熾烈な戦いになるだろう。

 フィジカルとスピードに秀でるサウジに対し、日本はどう挑むのか。様々なスタイルで戦う術を持っているが、大岩監督は常日頃からボールを動かしたいと口にしている。UAE戦でもビルドアップから攻撃を仕掛けていくイメージを持っていた。

 しかし、上手くいかず、思い描いたプランを実行できなかった。となると、2戦目のキーマンになりそうなのが、UAE戦は途中出場だった山本理仁(東京V)だ。

 インサイドハーフというポジションで見れば、守備での貢献度が高い藤田譲瑠チマ(横浜)や松木玖生(FC東京)、推進力が武器の鈴木唯人(清水)といった選手とは異なり、プレーメーカータイプの山本は大岩ジャパンでは唯一無二の存在。ビルドアップを助ける役割だけではなく、高い位置でゴールに直結するパスを配給できる点を踏まえれば、山本の起用法がサウジ戦のポイントとなる。

 先発で起用されれば、山本を中心にボールを動かしながら、序盤からゲームの主導権を握りにいく展開が理想的だ。UAE戦は相手のプレッシャーを回避できずにビルドアップで苦労したが、サウジはそれ以上のパワーを持つ。だからこそ、山本の特長が生きる。「預けやすい部分はある」とCBの鈴木海音(栃木)が話すように、相手のポジショニングを見ながらボールを受けることが可能で、よりスムーズに前へボールを運べるはずだ。
 
 逆に途中出場となれば、相手が疲れたタイミングで投入され、前のスペースを生かすようなパスで局面の打開を図ることが期待される。UAE戦では82分からピッチに立ち、4−3−3のインサイドハーフに入ってゲームを落ち着かせる役割を遂行しつつ、得意の左足で決定機を演出した。

 90+1分には藤尾翔太にスルーパスを通してチャンスを作り出しており、試合をクローズさせるタスクだけではなく、「チャンスを作るのが自分の強み。自分の仕事は遂行できた」という攻撃面で存在感を示していた。

 3月のドバイカップでサウジの強さを肌で感じている点も含め、山本の存在はチームにとって必要不可欠だ。

 5日のトレーニングは冒頭15分の公開となったため、先発出場か途中出場か定かではない。だが、どんな起用法であっても全力を尽くす構えでいる。

 4日の練習後、山本はこう話していた。

「判断や目の調子も悪くない。次の試合、チャンスがあればやってやりますよ」

 勝利を掴めば、グループステージ突破に大きく近づく。パリ五輪世代を牽引するレフティがチームを勝利に導けるか注目したい。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

【関連動画】これぞストライカー! 細谷真大のドンピシャヘッドで勝ち越し!

【関連動画】UAE戦の先制点は鈴木唯人! 寄せてくる敵を巧みにかわして左足ショット!

【練習潜入】日本代表が迫力の紅白戦!ブラジル戦は長友佑都が右SB?
 

次ページ【関連動画】これぞストライカー! 細谷真大のドンピシャヘッドで勝ち越し!

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事