「すごくワクワクする」A代表デビューの伊藤洋輝がもたらしたものとは――。市川大祐が見たパラグアイ戦

2022年06月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

サッカーIQの高さや、プレー視野の広さを感じる

市川氏は、伊藤(26番)が、「A代表デビューとは思えない落ち着いたプレーぶり」だったと称賛した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 日本代表は6月2日、4試合が予定されている6月の代表活動の初戦で、パラグアイ代表と対戦し、4ー1で勝利を収めました。

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 カタール・ワールドカップ本大会に出場できなかったパラグアイは、コンディションも決して良いとは言えない状況で、守備の強度が高くなかったように感じます。日本の攻撃陣はやりやすかったのではないでしょうか。

 そんな試合で一番注目したのは、代表初招集でフル出場した伊藤洋輝選手です。

 スタートは左SBでした。非常に落ち着いているように見えて、ボールを受けることも恐れず、勇敢に攻め上がるシーンもありました。

 5分には左サイドのパス回しから、伊藤選手が敵陣深くまで侵入し、マイナスのグラウンダーのパスを供給。堂安律選手のシュートは相手GKのファインセーブにあいましたが、攻め上がった際にあのスペースを見つけられていたことは素晴らしかったと思います。
 
 さらに、11分には三笘薫選手へボールが入った際に、タイミング良くインナーラップを仕掛けています。これまでSBでの経験が多くないなかで、あれだけのプレーができたのは、サッカーIQの高さや、プレー視野の広さを感じさせます。

 足もとの技術もあり、最終ライン中央の吉田麻也選手や谷口彰悟選手とのパス交換もスムーズで、ボールを動かしながら相手の隙を狙うロングフィードも披露しました。36分の浅野拓磨選手の先制弾は、伊藤選手のロングパスが起点です。

 視野の広さとテクニックに自信があるからこそ、遠くのスペースも見つけられ、そこへ鋭いパスも供給できる。今後の注目は、前線の選手が簡単にボールを収められない相手と対戦した際に、どんなプレーを選択するのか。きれいにボールを供給できても、味方が競り合いで負けてしまうと、逆襲を受ける可能性も高まります。チャレンジとリスク管理のバランスを見たいですね。

 左利きで186センチの長身。今の代表にはいない特長を持っているのも魅力的です。

 空中戦で競り勝つシーンも目立ちました。得点こそ奪えませんでしたが、日本がワールドカップ予選で成果を残せなかったセットプレーで、そのターゲットとしても大きな可能性を感じます。

 若さというか、勇気というか、積極的なプレーが多かったのは、本来の実力とともに、ドイツに渡って素晴らしいシーズンを過ごしたからとも言えそうです。シュツットガルトで活躍して、自信を深め、それがプレーにも出ていたように感じます。

 左サイドでは三笘選手や鎌田大地選手との連係もスムーズで、海外に渡った初年度から活躍できたことを考えれば、適応力の高さもありそうです。
 

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