【柏】キャプテンマークを託された鈴木が次戦へ「自信を持ってぶつかるだけ」

2015年08月26日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「アウェーで3点を取るのは難しいけど、できないことではない」

対策してきたセットプレーでの失点を悔やんだ鈴木(4番)。それでも「修正できる課題」と前を向き、第2戦での巻き返しを誓う。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

「頼むぞ!」――。
 
 広州恒大とのACL準々決勝第1戦、柏は足に疲労性の張りを抱える大谷秀和の欠場を余儀なくされた。不動の主将の不在が急遽決まる緊急事態で、ゲームキャプテンを託されたのが守備の柱であるCBの鈴木大輔だった。大谷、吉田達磨監督から冒頭の言葉をかけられたというが、キャプテンという"大役"にも背番号4は敢えて自然体で臨んだという。

【ACL PHOTOハイライト】柏 1-3 広州恒大

「自分は2年前(の敗戦)も経験しているけど、リベンジリベンジと熱くなり過ぎてはいけない。冷静に自分たちのプレーができるように心掛けた」
 
 しかし、試合はいきなり広州恒大に傾く。5分、FKでフアン・ボーウェンがゴール前に蹴り込んだボールを、相手選手と競りながらヘディングでクリアしようとした鈴木だったが、ボールは無情にも自軍のゴールネットを揺らし、開始早々に1点のビハインドを背負ってしまう。
 
「時間帯的にもったいなかったし、個人的にもオウンゴールはしたくなかった」と失点シーンを振り返る鈴木は、それでも下を向くことなく、CBエドゥアルドにはラインコントロール、アンカーの茨田陽生にはポジション取りやパスコースの指示を大声で送った。
 
「ウチは距離感を大事にしているサッカー。中盤、前線に若い選手が多いので、みんながバラバラにならないように意識してやった。上手くチームに声はかけられたと思う」
 
 鈴木自身は一つひとつの局面でロングボールを撥ね返して意地を見せるも、チームは相手のプレスもあって思うように敵陣で攻撃を展開できず、最終ラインでのパス交換など自陣でのボール回しが続く。すると40分、元ブラジル代表のパウリーニョに約35メートルのFKを鮮やかに決められると、58分にはショートコーナーからのクロスを中国代表FWのガオ・リンにヘディングで流し込まれ、3失点目を喫してしまった。
 
「(広州恒大の)ボールスピードやキックの精度が高いのはスカウティング通りだったし、セットプレーの練習をしてきただけに、防げない失点ではなかった。ただ、流れの中でやられてないとも言える一方で、力でねじ伏せられているのは大きな課題だと思う」
 
 1-4で敗れた2013年のACL準決勝第1戦では、試合後のチームもかなりの落胆が見られた。今回、5度目の対戦で悲願の初勝利はならず、アウェーゴール3点を奪われる厳しい現実を突き付けられながらも、選手間、チームには第2戦に向けてポジティブな雰囲気があるという。
 
 その理由は、マンツーマン気味にハメてくる広州恒大のマークを外してCBの前のスペースを使い、ゴールチャンスを作ったことであり、セットプレーの対応は修正できる課題であり、さらに工藤壮人が試合終了間際に1点を返したことに起因する。
 
「押し込まれるシーンはありながらも、相手のプレッシャーをいなすことができたし、ゴールチャンスも作れた。(選手間の)距離感は悪くなく、自分たちがボールを持ってゲームをコントロールした部分は自信を持っていいと思う。最後に工藤が取った1点はすごくポジティブ。スコア的にアウェーで3点取るのは難しいけど、できないことではない。あとは、自分たちのサッカーに自信を持ってぶつかっていくだけ」(鈴木)
 
「あと一戦ある。(勝負は)180分で捉えたい」と鈴木は語る。修正しながら、成長しながらやっていければいい――。完全アウェーが予想される9月15日の第2戦で、第1戦の悔しさを糧に背番号4がどこまで逞しさを増すのか、大きな見どころである。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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