フランス遠征に臨むU-19日本代表の三大チェックポイント! チームの骨格を固めるうえで貴重な機会に

2022年05月25日 松尾祐希

初めて代表チーム同士の試合に挑む選手も

U-19代表の予想フォーメーション。

 来年のU-20ワールドカップを目指すU-19日本代表にとって、今回のフランス遠征は選手たちの可能性を広げる意味で得難い経験となるはずだ。

 5月23日、日本サッカー協会(JFA)が第48回モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)に挑むU-19代表のメンバーを発表した。冨樫剛一監督が率いるチームの活動において、注目したい3つのポイントがある。

 1つ目が、U-19世代の選手たちにとって久しぶりの海外遠征となる点だ。U-19世代の選手たちはコロナ禍で国際試合から遠ざかっており、選出された23名のメンバーの中には初めて代表チーム同士の試合に挑む選手も少なくない。海外勢特有のリーチの長さやフィジカルの強さを知らない者からすれば、未知との遭遇になる。

 だが、そうした経験値を高めなければ、世界の強国とは戦えないのも事実。大会初戦で対戦するアルジェリアや2戦目のコモロといったアフリカ勢、3戦目で当たる南米のコロンビアとの一戦では国内で味わえないマッチアップができるだけでなく、自分たちの現在地を知る機会になるはずだ。

 2つ目のポイントは選手たちの試合勘だ。今回のメンバーは現状でのベストに近いが、冨樫監督は選手選考に頭を悩ませたという。

「日常のトレーニング、試合状況、ポジションによって、なかなか試合に絡めていない選手もいるが、選考基準としてはよりゲームに関わることが多いメンバーを選んだ」

 U-19世代はプロの世界に入って間もない選手がほとんど。FW横山歩夢(松本)ほか、今回はU-21代表の活動に参加するMF松木玖生(FC東京)やMF中村仁郎(G大阪)のように出場機会を得られている者はごくわずかだ。今回のメンバーでも国内組でGK陣が3名とも大学生になったのも、他の選手の出場機会を鑑みてのことだった。
 
 U-19世代の選手たちを見ると、大半は出番がなく、試合勘を失ってしまう。高校時代に圧倒的なプレーを見せていた彼らの成長曲線が鈍化してしまう傾向にあるのもそのためだ。

 東京五輪世代が軸となった2017年のU-20ワールドカップに出場したチームで指揮官を務めた内山篤氏も、過去に「基本的には90分間動ける。これを前提として(本大会やU-19アジア選手権に)連れて行かないと難しい」と話していた。9月上旬に行なわれるU-20アジアカップ予選や翌春に行なわれる同大会の本戦(U-20ワールドカップの最終予選)を見据えれば、ひとりでも多くの選手が台頭しなければ、出場権を逃す結果になっても不思議ではない。

 そうした状況を踏まえれば、DF中野伸哉(鳥栖)やDF田中隼人(柏)など主力候補の選手たちにとっても、今回のモーリスレベロトーナメントは重要になる。所属クラブでポジションを掴むきっかけにできれば、冨樫監督も今後は良い意味でメンバー構成に頭を悩ませるだろう。
 

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