【三浦泰年の情熱地泰】「原点を思い出せ」Jリーグ30周年の日に思い起こす憧れの先輩の言葉

2022年05月16日 三浦泰年

憧れのエンターテイナーでありアーチストでありスポーツマンだったその人は、僕の人生に大きな影響を与えた

93年5月15日に開幕したJリーグ。あれから30年の月日が流れたなかで三浦監督には忘れられない言葉があるという。写真:サッカーダイジェスト

 今年57歳になる僕は、良い年になりながらサッカー人としても、人間としても、まだまだ未熟だと思う日が増えている。

 そんな中で、コロナという世界的な出来事が人生になんらかの整理や考える時間を作ったのは間違いないのであろうし、それによって人の持つ「氣」に変化が起こっているのではないであろうか……。勢いが遮断されたような感じなのかもしれない。

 そんな時に、僕の生き方に凄い影響力を与えた憧れの人のことを思い出した。
 
「カズさん、やっさんに本当にこうやって会えるとは……」「テレビで見ていた人と……」「憧れでしたー」

 そんなふうに言ってくれるファンの方々は多いが、これは僕の若い頃と同じ感覚で、こんな人に会いたいと思っていた年頃から、その憧れの方をきっかけにたくさんの人と出会える時が来るのである。

 ブラジル留学時代から憧れだったエンターテイナーであり、アーチストであり、スポーツマンでもあるその人と出会えたのは、僕の人生に大きな影響を与えてくれた。

 今でも憧れであり、特に現役時代には数多くのアドバイスをもらったことを思い出す。

 それはアドバイスをしてくれているのではなく、日頃からコーヒーを飲みながら、レストランで食事をしながら、移動しながら、悪ふざけをしながら、ボールを蹴りながら、その存在と語ること全てが男であり、一流であり、僕にとって、こんな人になりたい――と思う人であった。

 その人との時間は、自然と僕に勇気と自信を与えてくれた。

 その人がコーヒーをブラックで飲んでいるのを見て、甘いコーヒーしか飲めない僕がブラックでしかコーヒーを飲まなくなり、何か真似から入っても真似もできない多彩な才能を持った憧れの存在である。

 最近、鏡を見て思い出した。「歳をとったなー」と思う鏡に映る自分の顔。

「ヤス、いい皺(シワ)をカッコいい皺を作ろうな!」と言っていた。確か30代前半の頃の話だ。

 僕より4歳上の先輩だから忘れていると思うけど……僕は良い皺が増えているであろうか?
 

次ページJリーグ開幕当時、僕らに未来を見据えた言葉を残してくれた

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