「先を見越してチャレンジした」U-21日本代表、合宿最終日のTMで選手の“配置換え”を敢行。大岩監督の意図とは?

2022年05月12日 松尾祐希

並びを変えざるを得ない事情も

大岩監督率いるU-21日本代表は、国内合宿最終日に大学選抜と練習試合を実施し、0-2の敗戦を喫した。写真:滝川敏之

 円陣の輪が解け、選手たちが持ち場につく。しかし、ピッチに散った選手の並びを見て、驚きを隠せなかった。

 千葉県内で合宿を行なっているU-21日本代表候補は、最終日となる5月11日に大学選抜とトレーニングマッチ(35分×2本)を実施し、0−2で敗戦。1本目と2本目で全選手を入れ替えて臨んだ一戦は、相手の勢いに飲み込まれる結果となった。

 今回、大岩剛監督が選択したシステムは4−3−3。3月下旬のドバイカップでも試した布陣だが、メインは4−2−3−1だったため、新たなチャレンジと受け取れる布陣だった。しかし、一番の驚きはシステムではない。選手の配置である。

 所属クラブによってシステムや戦い方が異なるため、一概に普段とポジションが違うとは言い切れないが、1本目ではCFが本職の染野唯月(鹿島)、2本目ではサイドハーフがメインの三戸舜介がインサイドハーフで起用された。
 
 もちろん、招集した選手たちのコンディションを考慮した側面があり、並びを変えざるを得ない事情があった。大岩監督は言う。

「コンディションはもちろん、所属クラブでの試合間隔、出場時間。そういうのを含めて1本目の選手、2本目の選手をチョイスしました」

 ただU-21代表が6月に参戦するU-23アジアカップまで、残された時間は少ない。6月3日の初戦・UAE戦が約3週間後に迫ることを考えれば、3日間のショートキャンプの総仕上げとなるトレーニングマッチは貴重な時間だ。そこで指揮官は、意図的に普段とは違うポジションで数名の選手を起用した。その狙いについて、大岩監督はこう説明する。

「選手の特徴を踏まえてわざとこの形でやってもらいました。戦術的な部分も含めて、我々の意図、これから先のことも含めて、(スタッフは)こういうプレーを望んでいると(伝えたかった)。大会中にイレギュラーなことがあれば、違うポジションでもやらなければいけない。先を見越したなかでチャレンジをさせて要求をしました」

 選手たちも指揮官の意図を汲み取ってプレーした。

「やったことのないポジションだったけど、自分としてはもっともっとボールに関わりたかった。前のチャンスメイクがもっとできたら良かったと思う」(染野)
 

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