天国のオシム氏に捧げる千葉・髙橋壱晟の劇的な決勝弾「強かったジェフを築いた方なので…」

2022年05月11日 石田達也

2連敗で迎えた岡山戦。最後の最後に劇的なドラマ

千葉は、試合終了間際の髙橋(中央)の決勝弾で岡山に1-0の勝利。連敗を2でストップした。写真:徳原隆元

[J1第15節] 千葉1-0岡山/5月8日/フクダ電子アリーナ

 この日のフクアリにはサポーターの待ち望んだ光景が広がっていた。

 2試合無得点の2連敗で迎えた5連戦のファイナルゲーム、第15節・岡山戦。試合終盤のアディショナルタイムに劇的なドラマが待っていた。

 中盤での激しい攻防が続き、岡山が外国籍選手の迫力を前面に押し出すなか、千葉はセカンドボールを拾い、素早い攻守の切り替えでリズムを掴んでいく。いくつか決定機も作ったがゴールを割れず。両者はともに交代カードを切り、試合を動かしにかかるもスコアレスのまま時間は推移した。

 そして、試合終了間際の90+4分。87分から投入されたMF髙橋壱晟が、最後の場面で大仕事をやってのけた。

 髙橋からの縦パスを受けた途中出場のMF福満隆貴がペナルティエリアの右に展開。MF高木俊幸が深い位置から折り返すと、ゴール前に駆け上がってきた髙橋が右足で流し込んだ。
 
 劇的なゴールを挙げたMFは「最後の崩しが完璧だったので、あとは流し込むだけでした」と決勝点を振り返る。試合前は4勝4分6敗。黒星が白星を上回り、チームとしてなかなか結果の出ないなかで上位戦線へ食い込んでいくためにも、どうしても必要な勝利だった。

 髙橋は「技術や戦術よりもベンチがひとつになって、"これを勝たなければまずい"と、みんな思っていましたし、熱い気持ちを出してファイトしたことが結果につながった。最後に僕が点を取れたのも、みんなが戦ってくれたことで、あの位置が空いたと思いますし、僕はいいところを持っていっただけです」と柔和な笑顔で語った。

 昨季は34試合に出場したが、今季はここまで出場2試合のみ。「悔しくて嫌な気持ちばかりだったので、ちょっとでも出場できたら1本と。ずっとやっていました」と胸の内を吐露する。

 本職のボランチだけではなくCBでもプレーできる器用さを持つが、やはり髙橋の特長が生きるのは攻撃面。ゴール前に入っていく動きだ。

 髙橋は「(ユン・ジョンファン監督から)『ボランチとして出るからバランスを取れ』と言われました。ただ、僕自身はそれにプラスして、前に出ていって点を取ってやろうと思っていました」と言うと、「いつも通り、やれることを全力で、100パーセントでやることで結果がついてくる。それを証明できると思うので変わらずにやっていきたいです」と地道に一歩一歩、邁進していくことを誓った。
 

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