「タケのサイドは狙われていた」久保建英にとって“最悪の試合”の問題点をスペイン人記者が指摘。「前半は彼のサポート体制が確立されていたが…」【現地発】

2022年05月11日 アルベルト・モレン

中盤と前線のつなぎ役として良い流れを維持することに貢献

完敗したグラナダ戦で85分までプレーした久保。(C)Getty Images

 タケ(久保建英)とマジョルカにとって"最悪の試合"だった。

 ラ・リーガ第35節、残留争いの直接のライバル、グラナダをホームに迎えたマジョルカは、2―6の大敗を喫した。同日、エルチェに勝利し(3-0)勝点3を追加したカディスと入れ替わって、残り3節を残して2部降格圏となる18位に転落した。

 勝利が必要なこの一戦、フランコ・ルッソとアレクサンダル・セドラルを怪我で欠く中、ハビエル・アギーレ監督は就任以来、定番となっていた3バックから4バックにシフトした。

 タケ・クボのポジションは右サイドハーフ。ただあくまで便宜上でのもので、試合の状況に応じて自由に動き回ることを許されていた。頻繁に中央に顔を出し、背後のパブロ・マッフェオがオーバーラップするという縦の関係も確立されていた。

【動画】久保が絶妙のスルーパスでチャンスを構築も…味方が決められず

 前半はまだマジョルカは抵抗することができていた。開始早々の6分に先制を許したものの、徐々に持ち直して相手ゴールに迫り、27分に同点に追いついた。そんな中、タケも中盤と前線のつなぎ役として良い流れを維持することに貢献。2ライン(DFとMF)間のスペースを上手く活用し、ボールを収め、あるいは持ち運んで、相手の守備を引き付け、縦パスを送り込んだ。この試合においてタケが最も重要な役割を果たすことができた時間帯だった。

 周囲のサポート体制も整備されていた。マッフェオはパス交換から敵陣深くに侵入し、サルバ・セビージャはビルドアップに積極的に関与。タケはポジションを下げることなく、その前方でパスを引き出し、攻撃を仕掛けた。

 前線ではヴェダト・ムリチの存在も大きかった。コソボ代表FWは大柄でフィジカルが強く、疲れ知らずのハードワーカーだ。この一戦でも空中戦で強さを発揮し、相手DFを苦しめた。タケが自由にプレーすることができたのも、ムリチが身体を張ったポストプレーで存在感を発揮し、バイタルエリアの守備が手薄になったからだ。

 しかしマジョルカの巻き返しはここまでだった。後半、再びグラナダがペースを掴むと、劣勢を跳ね返す力は残されていなかった。

【動画】久保がクロスでお膳立て!38歳セビージャが決めたスーパーミドル弾

次ページ後半はタケもチームもなす術なく、失点を重ねるだけだった

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