8歳でベティスの下部組織に入団したカンテラーノが「17年前の英雄」の継承者に

2022年04月29日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ベティスのクラブ史に名を残したミランダ

優勝を決める最後のPKキッカーを務めたミランダ(上)。下は17年前の殊勲者ダニ・マルティン。(C)Getty Images

 クラブ史に名を刻む英雄になるには、主に2通りのケースがある。ひとつは言うまでもなく長きにわたってインパクトを残す活躍をした選手。そしてもうひとつは、タイトルの懸かったビッグゲームで勝利を決定づける重要な得点を決めた選手だ。

 後者の代表例としては、レアル・マドリーに32年ぶりの欧州王座をもたらす決勝ゴールを決めたプレドラグ・ミヤトビッチや(1997-98シーズン、チャンピオンズ・リーグ決勝のユベントス戦)、バルセロナを悲願の欧州初制覇に導く決勝弾を叩き込んだロナルド・クーマンなどが挙げられるだろう(1991-92シーズン、チャンピオンズ・カップ決勝のサンプドリア戦)。
 
 2022年4月23日、17年ぶりにコパ・デル・レイを制し、クラブ史上4つ目のタイトルを獲得したベティス。その17年前、延長戦にもつれ込んだオサスナとの熱戦で決勝ゴール(2-1)を決めたのはカンテラ育ちのストライカー、ダニ・マルティンだった。

 度重なる怪我に悩まされ、31歳の若さで現役引退を余儀なくされたダニ・マルティンだが、彼はいまも記録より記憶に残る選手としてベティコ(ベティス・サポーター)の心の中に生き続けている。実際、今回のバレンシアとのファイナル前には複数のメディアでインタビューを受けていた。

 そして今回、PK戦にまでもつれたファイナルでその栄えある継承者となったのが、最後のPKキッカーを務めたファン・ミランダだ。「だれに継承者になってほしいか」と訊ねられ、「自分と同じベティスのカンテラーノが理想」と答えていたダニ・マルティンの、願いどおりの結果となった。

 地元セビージャの出身で8歳の時にベティスのカンテラに入団したミランダは、その3年前の5歳の時に17年前の決勝を現地で観戦。当時の優勝セレモニーでの写真を自身のインスタグラムにアップしている。

 ベティスはラ・リーガを代表する名門クラブだ。その人気、経営規模、歴史を考えると、17年というブランクはやはり長すぎる。その間、隣人のセビージャがヨーロッパリーグ3連覇を含む8つのタイトルしていたのだからなおさらだ。

 ベティコの願いはもちろん、もっと短いスパンでタイトルを獲得し、近い将来、ダニ・マルティンやミランダを継承する英雄が現れることだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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