元代表監督トルシエが森保ジャパンの4-3-3システムを独自解説! 明神、稲本を想起させた、お気に入りの2選手とは?

2022年05月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

トルシエジャパンでたとえるなら、田中は稲本、守田は明神

トルシエ氏が森保ジャパンのお気に入りと語る、守田(左)と田中(右)。(C)SOCCER DIGEST

 今秋に開催されるカタール・ワールドカップで、日本代表は過去最高のベスト8以上に勝ち進めるのか?

 カギとなるのは、アジア最終予選の4戦目・オーストラリア戦から採用され、森保ジャパンの基本布陣となりつつある「4-3-3」システムだ。

 元日本代表監督フィリップ・トルシエ氏の目に映る森保ジャパンとは――。

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 ワールドカップで日本がどう戦うべきか、その問いに対しては、ここまでどのような戦いをしてきたのかを振り返る必要があります。

 まず触れておきたいのは、「4-3-3」の戦術についてです。私は日本のこのシステムについて、どちらかと言えば「5-5」という言い方がベターと考えています。5人のブロックをふたつ築いている印象があるためです。

 守備ブロックは、4人のディフェンダー、ベストメンバーなら長友佑都、冨安健洋、吉田麻也、酒井宏樹。3月は招集外の酒井と冨安に代わって山根視来や板倉滉が入りましたが、基本的には4人のディフェンダー、プラス、アンカーの遠藤航。この5人が守備ブロックを形成しています。

 また前の3人、オーストラリア戦では南野拓実、浅野拓磨、伊東純也。ここまでの森保ジャパンの基本布陣なら南野、大迫勇也、伊東。それに田中碧と守田英正のふたりのインサイドハーフが攻撃を担っています。森保一監督はこのふたつのブロックに分けて戦術を考えているのではないかと推察します。その中で、最も特長的で印象に残っているのが、守田と田中の攻撃参加です。
 
 日本はこれまで、サイドバックの長友や酒井が積極的に攻め上がるプレーが印象的でした。また、トルシエジャパンの「3-5-2」も、ウイングバックの攻め上がりを前提とするシステムでした。

 現在の森保ジャパンは少し異なり、長友、山根、酒井の攻撃参加は、さほど想定されていないと見ています。

 彼らはもちろんオーバーラップを仕掛けますが、バランスをコントロールするタスクの比重が大きく、時にテンポを落とす場面もあります。予測を超えた"違い"としてチームに推進力をもたらすのは彼らサイドバックではなく、守田と田中のインサイドハーフで、時にはアンカーの遠藤が自ら持ち上がってその役を担います。森保ジャパンの4-3-3のそういったメカニズムを、私は興味深く眺めています。

 私が指揮した2002年のチームとは、戦術、システムともまるで違いますが、強いて言えば、私のお気に入りの守田や田中は、当時のトルシエジャパンでたとえるなら、田中は稲本潤一。当時彼がベルギー戦で見せたような、飛び出しや若さゆえの勢いなどを披露してくれると期待しています。守田は、例えば明神智和のように献身的に働けるし、攻撃参加も十分できるポリバレントさを備えた素晴らしい選手だと思います。

 彼らが期待通り活躍してくれたなら、とてもエキサイティングなワールドカップになるのではないでしょうか。

【動画】元日本代表監督フィリップ・トルシエが語る「日本代表への提言」

【著者プロフィール】
フィリップ・トルシエ/1955年3月21日、フランス生まれ。98年に日本代表監督に就任。同時にU-23、U-20代表監督も兼務し、00年のシドニー五輪でベスト8、02年の日韓ワールドカップではベスト16に導く。03、04年には今秋のワールドカップ開催地、カタール代表監督も経験した。

【PHOTO】日本代表の歴代ユニホームを厳選写真で振り返り!(1992-2022)

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