なぜオーバメヤンはバルサで復活できたのか。奇しくもアーセナル退団の要因となったアルテタの指導がプラスに「良好な関係ではなかったが…」【現地発】

2022年04月22日 エル・パイス紙

「スペイン語を上手に話せることに驚かされた」

冬の加入ながらリーガで9点を挙げるなど、ゴールを量産しているオーバメヤン。(C)Getty Images

 2020年9月、アトレティコ・マドリーにルイス・スアレスを "格安"で売却した後、バルセロナは急遽、後釜としてアーセナルのピエール=エメリク・オーバメヤンの獲得に動いた。

 スポーツ部門は、ロンドンで代理人と、シッチェス(バルセロナ郊外のリゾートビーチ)にある父親の家で選手本人と、2度会談の場を持ち、事態はバルサに有利に進んでいると思われた。しかしアーセナルもただ指をくわえて待っているわけではなかった。契約延長オファーの条件を上方修正(800万ユーロ強)し、チームのキャプテンであり、ファンの人気者だったオーバメヤンは、アーセナルに留まることを決断したのだった。

 しかし、両者の蜜月関係は長くは続かなかった。1年半後、ミケル・アルテタ監督との関係悪化に伴いパフォーマンスが著しく低下。オーバメヤンは移籍を決意し、バルサを新天地に選んだ。

 一線級のストライカーを探していたバルサにとってもこの状況はまさに渡りに船だった。1年半前のような好条件を提示することはできなかったが、復活に燃えていたオーバメヤンはバルサでプレーすることを優先。アーセナルとの契約を解除したことも手伝って、移籍市場の最終日に入団が決まった。

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 オーバメヤンは、初日からドレッシングルームで歓迎された。チームメイトのひとりもこう証言する。

「スペイン語を上手に話せることに驚かされた。(ウスマンヌ)デンベレや(ダニエウ)アウベスといつも笑っている。チームにスムーズに適応できたのもコミュニケーション能力のおかげだろう。また彼は超が付くほどの負けず嫌いでもある。練習に真剣に取り組み、ミニゲームであっても、勝利を目指して常に全力でプレーしている」

 もちろんオーバメヤンが最大のインパクトを放ったのは、ピッチ上において、だ。ゴールを量産することで瞬く間にポジションを確保。コーチのひとりはその貢献ぶりを次のように分析する。

「入団当初は試合勘が鈍っていた。でもそれもほんの少しという程度だったし、何より我々はチームに何をもたらすことができるかはっきり想定していた。彼はスピードがあるが、それだけの選手ではない。幅広い働きができる。

 2人目役をこなしながら、3人目の動きをする味方にパスを出し、インサイドハーフへのパスコースを封じられると、代わりにパスの受け手になる。ポストプレー、背後のスペースへの抜け出しなどで相手のCBを引き付ける。ペナルティエリア内での得点力は折り紙付きだし、前線からのプレスで守備の面でも大きな貢献を見せる」 

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