データには表われないペドリの「ゲーム支配力」。日本がW杯で対戦する“イニエスタ2世”は何が凄いのか【現地発】

2022年04月17日 エル・パイス紙

壮大なメッセージを伝えながら熱量いっぱいにプレーする選手とは対極に位置する

森保ジャパンがカタールW杯で対戦するスペイン代表の10番を背負うのがペドリだ。(C)Getty Images

 ペドリが映画好きだというニュースは耳にしたことがない。しかしながらもうすぐにピッチ上で奇跡を起こす彼の人生の一部始終が明らかになるだろう。ペドリはすでにスターの1人であり、メディアからの徹底的監視の目に晒されることになるに違いないからだ。

 ペドリは約1年半前、期待のホープとしてバルセロナに加入した。移籍金はわずか400万ユーロ(約5億円)。誰も1年目からトップチームで活躍するとは考えていなかった。翻って今、考えられないのは、彼がスタメンから、スペイン代表から、そして毎年発表される個人賞のノミネートから外れることである。

 セビージャの強固な守備陣を向こうに回して、ペドリはガラタサライ戦で決めたスーパーゴールをシネマスコープのように再現した。ボックス外、ボックス内という違いはあったが、彼の才能がセビージャ戦の勝利(1-0)を決定づけ、つい最近まで暗闇の中を彷徨っていたバルサを上昇気流に乗せた。

【動画】「上手すぎる」「言葉じゃ表現できない」19歳ペドリの華麗な2連続フェイント→弾丸ゴラッソ
 
 バルサの快進撃は、シャビの監督就任と冬の移籍市場での新戦力の獲得という2つのファクターに起因していると指摘されることが多いが、その一方であまり語られていないのが、ペドロの影響力の拡大だ。

 そして重要なのは、得点数、アシスト数、パス成功数、そしてエチオピア人のようにピッチを縦横無尽に走り回る運動量が、彼のプレーのインパクトを集約したものではないことだ。ペドリのすごさは、ゲームを支配する力に他ならない。ラ・リーガを1シーズン半ほどしか経験していない19歳には不可能と思われる挑戦だ。しかし彼はピッチ上で指揮を執る非常に稀なタイプの選手であることを、有無をいわせぬプレーによって証明している。

 しかも特筆すべきは、ペドリがゲームを支配するルールにはまるで仰々しさがないことだ。チームに壮大なメッセージを伝えながら熱量いっぱいにプレーする選手とは対極に位置する。知性、技術、そして無限の信念の完璧なコンビネーションが、彼の名人芸を支える源泉なのだ。

【動画】ガラタサライ戦でも決めていた!「魔法のよう」と絶賛された19歳ペドリの華麗な2人抜き弾

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