敵将も「完敗」と脱帽する京都がかなり強い。さらなる躍進に期待できる理由とは…

2022年04月18日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「攻守の切り替えが早かった」

柏戦でもゴールを決めたP・ウタカ。得点ランキングのトップを走る。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「球際、戦うところ、そういうところで今日はほぼ完敗だった」

 柏レイソルの井原正巳ヘッドコーチは、0-2で敗れた京都サンガF.C.戦後にそう語った。相手のプレーに脱帽したのは選手も同様で、川口尚紀は敵の運動量について「攻守の切り替えが早かった」と述べている。

 確かに京都は圧巻のプレー強度を披露した。前線から激しくプレッシャーをかけ、柏としては「上手く(相手の)背後を使う」(古賀太陽)狙いがあったが、正確にボールを蹴る余裕さえ与えないチェイシングで相手から自由を奪う。

 敵陣でボール奪取後にスピーディなショートカウンターでゴールに迫ったかと思えば、13分には自陣からパスをつないで最後は荻原拓也がネットを揺らす。ピッチを広く使って実に10人が絡んだ得点は、思わずため息が漏れるようなビューティフルゴールだった。
 
 劣勢の時間帯は素早い帰陣でゴール前に分厚い守備ブロックを構築し、個々は球際の強度を最後まで落とさない。48分にはセットプレーからピーター・ウタカが追加点を決め、終盤はシステムを5バックに変えて逃げ切った。勝つための戦術の引き出しが多いのだから、かなり強い。

 走力を売りにするチームでは選手のクオリティ不足でミスが続き、次第に自信を失う残念なケースも見たことはあるが、京都の場合は各ポジションに個性派が揃うから面白い。例えば中盤ではアンカーの川﨑颯太が鋭いチェイシングでボールを奪えば、インサイドハーフの武田将平はダイナミックなサイドチェンジを披露。個々の武器が絶妙なバランスで絡み合っていた。

 なにより大きいのは7ゴールで得点ランクトップを走るP・ウタカの存在で、最終局面でシュートを決めきるストライカーがいれば、志向するスタイルに自信が持てる。しかも、そのエースでさえ守備を怠らない。上手い選手が走れるのだから、さらなる躍進にも期待ができるだろう。

 ひとつ懸念点を挙げるとすれば、自慢のプレー強度をシーズン通してどこまで維持できるか。ただ、試合後に杉山弘一コーチは「僕もビックリするくらい練習の強度が高い」と言う。日々のトレーニングで鍛えられていると考えれば、疲労を不安視するのは、どうやら野暮な心配かもしれない。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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