「森保監督の保守性が有効になる」日本代表はスペインを相手にどう戦うべきか? あえて敵国記者に訊いた。「田中がペドリに…」【現地発】

2022年04月13日 ダビド・フェルナンデス

「森保監督の判断は正しいように思える」

決勝トーナメント進出を懸けた第3戦でスペインと対戦する日本代表。(C)JFA

 日本代表がカタール・ワールドカップのグループステージ第3戦で相まみえるのが、スペインだ。EURO2008、2010年W杯、EURO2012とメジャー大会3連覇を成し遂げ、東京オリンピックでも準決勝で日本の前に立ちはだかった強豪国に、どう立ち向かうべきなのか。継続して森保ジャパンをチェックしてきた『ラジオ・マルカ』のダビド・フェルナンデス記者に訊いた。

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 日本代表は、森保体制5年目を迎える中でワールドカップに臨む。ゴールが少ないのであれば、その数を増やそうとして自分をさらけ出すのではなく、少ない得点でリードして守る。森保一監督は得点力不足という日本が抱える積年の課題に、明確な姿勢で立ち向かっている。

 技術的センスや攻撃の積極性を評価し、若い選手の溌剌としたプレーを好む日本のファンが、森保監督のこの現実的なアプローチに不満を抱くのは理解できる。しかし、その戦いぶりをチェックしてきた海外の一記者として私見を挟ませてもらうと、少なくともチャンスを確実に仕留めることができる9番不在の状況が続く限りは、森保監督の判断は正しいように思える。

 森保監督は日本が得点面でウイングに依存する現状を鑑みて、(しかもゴールは最終目標ではなく、流れの中で生まれるボーナスのようなものだ)守備に比重を置いて戦うことを選択した。

 しかし同時に、指揮官の下でチームは進化を遂げ、ニュアンスは変わってきている。それは僅差のリードを守るために迅速に自陣にリトリートしゴール前を固める守備から、前からボールを奪う守備への変化だ。

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 そのために、中盤にはプレッシングを得意とする選手を並べている。日本は、アジアカップ2019のサウジアラビア戦(ラウンド・オブ16)で、ポゼッション率が30パーセントに満たない中で、1点差のリードにしがみつく戦い方を余儀なくされた。

 しかしW杯予選で同じ相手と対戦した時は、主導権を握るまでには至らなかったが、守田英正、とりわけ田中碧という中盤の選手が率先してプレッシングを行ない、前からボールを奪う積極性を見せた。

 さらにこの受動的なディフェンスから能動的なディフェンスへの移行が、スペイン代表のような格上との試合で有効になる。スペインはもう10年以上にわたって、ボールを扱うことに長けているが、スペースがないと表現力に乏しい選手がチームの根幹を担ってきた。"ラ・ロハ"が保守的なアプローチで試合に臨むチームに苦戦するゆえんだ。

 しかし、だからと言って日本がベタ引きで守ればいいというわけではない、スペインをペナルティエリアから締め出すために、積極的にプレスを仕掛け、なおかつボールを奪えば素早く攻撃に転じ、相手に脅威を与えなければならない。そう、スペインの嫌がる展開だ。だからこそスペインは、ドイツのような攻撃的なチームと対戦する時と同じくらい、いやそれ以上に、日本の挑戦を受けて立つことを心配しなければならないのだ。
 

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