「完璧なマシンも実は危うかった」元日本代表監督トルシエが見た森保Jの最終予選ラスト2試合「自信を持って戦えば可能性も開ける」

2022年04月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

結果は順当で、日本は自分たちの成熟ぶりを示した

敵地での豪州戦に勝利した森保JがW杯出場を決める。トルシエ(左)は「日本にはどこにも弱点がなかった」と語る。(C)Getty Images

 カタール・ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選で、日本代表は3月24日に敵地で行なわれた9節・オーストラリア戦で2-0の勝利を収め、7大会連続7度目のW杯出場を決めた。ただ、グループ首位突破をかけた29日のホームでの最終節・ベトナム戦は1-1のドロー。結果的に2位通過となった。

 森保ジャパンの最終予選ラスト2試合の戦いぶりを、元日本代表監督フィリップ・トルシエはどう見たか。2002年の日韓W杯で日本を初のベスト16に導いたフランス人が本音で語った。

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 オーストラリア対日本は両国にとって大一番だった。日本はこの試合で自分たちの良さを存分に発揮し、プレーには勝利への強い意志が感じられた。積極的にプレスをかけてボールを奪い、素早く前に運んで危険な状況を作り出した。

 よく組織された守備とスピーディな攻撃で、オーストラリアに主導権を渡すことがなかった。それが可能だったのは、チームの全員が攻守にわたりなすべき仕事を果たしたからで、なかでも遠藤(航)と田中(碧)、守田(英正)の3人の働きぶりは素晴らしかった。

 とはいえ前半はオープンな展開で試合は拮抗した。オーストラリアもまた攻撃的かつアグレッシブで、積極的にプレスをかけてきたからだ。だが彼らは、後半途中から疲労が見えはじめ、その後は日本の力強さばかりが際立った。

 三笘(薫)の連続得点は終了直前だったが、チームとして前半にもう1~2点決めていてもおかしくはなく、とりわけ南野(拓実)が得たチャンスは本当に惜しかった。

 結果は順当で、日本は自分たちの成熟ぶりを示しながら最後までアグレッシブに戦った。勝因は、チーム全体がひとつの完璧なマシンとして機能したからだ。相手に攻撃を構築させない高い位置からのプレスと、ゴール前まで素早くボールを運ぶ流動的な攻撃。この試合の日本には、どこにも弱点がなかった。
 
 さらには森保(一)のチームマネジメントとコーチングも素晴らしかった。選手交代のタイミングも良かった。彼の的確なコーチングが、試合終了間際の三笘の2得点を生んだと言える。

 忘れてならないのは、酒井(宏樹)や冨安(健洋)、大迫(勇也)らの負傷による離脱はあったが、森保が予選を通じて同じグループを維持し、同じ選手を使い続けたことだ。グループの80%は顔ぶれが変わらなかった。だからオーストラリア戦も心理面での準備がもっぱらで、賭けるものが大きい重要な試合であることが強調され、モチベーションを強く鼓舞された選手たちは存在感を示すよう発破をかけられた。

 監督は特別なことをする必要はなく、オーストラリア戦の重要性を説くだけで選手に十分なモチベーションを与えられたし、彼らに責任の重さを感じさせることができた。選手もそれに応え、全力でプレーに打ち込み自分たちの役割を果たした。

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次ページ内容も結果も期待外れだった

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