マテウス・サヴィオはもはや柏の“新・キング”。存在感は全盛期のクリスティアーノくらい別格だ

2022年04月02日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

熱く叫ぶ姿はクリスティアーノを見ているようだった

好パフォーマンスを続けるマテウス・サヴィオ。ここまで3ゴール・1アシストを決めている。写真:滝川敏之

 2-0で勝利した磐田戦でもマテウス・サヴィオの存在感は別格だった。

 まずは26分にミドルシュートで相手ゴールを脅かすと、38分にはカウンターから小屋松知哉にスルーパスを供給して決定機を演出。シンプルなプレーだが、オフ・ザ・ボールの動きと判断力に優れたプレーだった。

 さらに41分には左サイドで三丸拡がドリブル突破すると、スルスルっとゴール前に走り込む。目の前で潰れてくれた細谷真大の貢献もあって、ヘディングで合わせてネットを揺らした。

 後半に入っても味方との連係からチャンスに絡む。51分には推進力あるドリブルから小屋松とのワンツーで中央を切り崩し、左サイドの三丸へ展開。最終的にはゴールにつながらなかったが、見事なコンビネーションだった。

 好プレーの連続はさることながら、印象的だったのは78分のシーンだ。右サイドでボールを持つと、足もとでボールを受けようとした途中出場の岩下航へ、身振り手振りで「オーバーラップで裏を狙え!」と言わんばかりの猛烈な指示を送る。熱く叫ぶ姿は、昨季限りで退団したクリスティアーノ(現長崎)を見ているようだった。
 
 柏で歴代最多得点者のクリスティアーノは"キング"と呼ぶに相応しい存在だった。M・サヴィオにとっても、加入間もない頃は家まで車で送ってくれることもあったという。まるで「兄」のようなクリスティアーノがいた昨季までのM・サヴィオは、良くも悪くも脇役のようなブラジル人だった。

 しかし主役が柏を離れ、新たに10番を託された今季のM・サヴィオは早くも3ゴール・1アシストを決め、攻撃の中心として多くのチャンスに絡んでいる。チームメイトと積極的にコミュニケーションを取り、指示を送り、さらには献身的な守備も最後まで怠らないのだから、その背中についていきたくなる"新・キング"と言えるだろう。存在感は全盛期のクリスティアーノくらい別格だ。

 柏で約7年を過ごしたクリスティアーノの退団が決まった時は、筆者も担当記者としてたくさん取材させてもらったので、心にポッカリ穴があいたような気分だった。それは、たぶん柏サポーターも同じかもしれない。だが今はその"穴"が埋まるどころか、新10番のテクニカルなプレーの連続に魅了されて充実感に満ちている。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事