【バイタルエリアの仕事人】Vol.14 青山敏弘|衝撃を受けたハメスと香川のクオリティ。意識するのは“危険なプレー”

2022年03月31日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

W杯でトップレベルを知るのでは遅すぎる

日本代表でも12試合・1得点の実績を誇る青山。森保ジャパンではアジアカップ準優勝にも貢献した。(C) SOCCER DIGEST

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第14回は、サンフレッチェ広島一筋でプロ19年目の青山敏弘だ。前編では、プレーヤーとしてのさらなる進化への想いから自身のサッカー人生に大きな影響を与えた恩師について語ってくれたが、後編ではさらにこの熟練ボランチが持つサッカーに対する思考や流儀を深く掘り下げていく。

 日本代表としても12試合・1得点の実績を持つ青山は、ザックジャパンの一員としてブラジル・ワールドカップを経験。世界の舞台でも、やはり自身の持つ武器を評価し、起用してくれた指揮官に感謝を語る。そして経験したからこそ分かった世界の凄みと、日本サッカーのさらなる強化へのヒントとは?

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 日本代表では、監督のザッケローニさんが求めていたものが、自分が磨いていた武器とうまく合致したのが大きかったですね。ミシャさんが求めていたものと、ザックさんが求めていたものには、大きな共通点がありました。ミシャさんの5年間と、森保さんのもとでの2度の優勝(※12・13年に連覇。15年には3度目の優勝)が、その後の代表にも繋がっていたと感じています。

 13年に代表に呼ばれて、最初の東アジア選手権の時でしたが、初戦のハーフタイムで「柿谷が動き出すから見とけよ」って言われたんです。その後半に、縦に抜け出す彼の動きがしっかり見えて、ドンピシャで動き出しに合わせたパスを出せた。まさに、それがザッケローニさんが求めていたプレーで、ワールドカップ直前の強化試合でもアメリカでザンビアと戦った時に同じようなパスが出せたのですが、やはり自分の武器でうまく要求に応えられたことで評価され、ワールドカップの舞台にも立てたと思います。

 ワールドカップではコロンビア戦(●1-4)にしか出ていないのですが、相手はハメス・ロドリゲスがバイタルエリアに掛かってくるところからスピードアップしてきて、最後はそこを使われてアシストのパスを出されてしまったのが印象に残っています。本当に危険なプレーヤーで、バイタルのところでシュートを打ってきたり、ドリブルで仕掛けてきたり。やっぱり、Jリーグだったら、ボランチが前にいると無難にはたくプレーが多いですが、そこで果敢に仕掛けてくる。なおかつ、引きつけてラストパスを出す。あれが世界のトップレベルなんだなと痛感したし、あのワンプレーで勝負を決められましたね。

 だからこそ、あのレベルのプレーをあの場で知るというのが、もう遅すぎるんだなとも感じました。普段から世界のレベルをスタンダードと認識してプレーしていなければ止められない。日常的にあのレベルのサッカーに触れて、集大成としてワールドカップに臨むようでなければ厳しいということですね。
 

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