「練習場で涙が出た」ウクライナのエースがロシア侵攻について胸中を告白「ちょうど家族をキエフへ送り出してしまい…」

2022年03月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

「誰もウクライナ人のスピリットを破壊することはできない」

ロシアによる母国への攻撃について言及したヤルモレンコ。(C)Getty Images

 先月24日にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、1か月が経った。ロシア軍の非人道的な攻撃は続き、子どもを含む多くの民間人が犠牲となっている。

 ウェストハムに所属するウクライナ代表のエース、アンドリ―・ヤルモレンコは、母国の状況に胸が張り裂ける想いだろう。ウクライナのYouTubeチャンネル『Football1/2/3』に語った内容を英紙『Daily Mail』などが伝えている。

「2月24日、すべてが始まったとき、私はトレーニング場に到着し、話すことさえできなかった」と切り出したヤルモレンコは、「涙が出た。監督に家に帰らせてもらうように頼んだ」と続けている。

「こんなことが起こるとは思っていなかった。子供の医者の予約をしなければならなかったので、ちょうど家族をキエフに送り出したところだったんだ。翌朝、戦闘が始まったとき、どんな思いだったか想像できるか? 走って壁に頭をぶつけたかった。家族をキエフに送って、ロンドンで座っているなんてばかげている」

【動画】思わず感情が溢れ…ヤルモレンコが母国に捧げた涙のゴール
 ただ、その家族は無事にロンドンに戻り、ウクライナのエースはクラブでプレーを続けている。それどころか、アストン・ビラ戦とヨーロッパリーグのセビージャでは、貴重な得点も叩き出している。

「デイビッド・モイーズ監督は、家族の安全を確保するためにできる限りのことをしなければならない。トレーニングに参加するかは任せると言ってくれた。僕はプロであり続ける必要があったので、戻ってきた」

 練習に参加することが、気を紛らわすことにも繋がったと明かした32歳は、「親戚はみんな生きていて元気だ。いとこが、叔父や叔母と連絡を取り合ってくれている。絶え間ない砲撃が行なわれているため、地下室のシェルターに隠れているようだ」とウクナイナに残る親類の状況を明かしている。

「この件について話すのは正直怖い。我々は互いに助け合う必要があるし、そうしなければ誰も助けてくれない」

 最後に、ヤルモレンコは「私たちはどの国にも負けないだろうと確信している。誰もウクライナ人のスピリットを破壊することはできない」と力強く語った。

 尋常ではない精神状態で、それでも結果を残す"不屈の男"のプレーは、ウクライナの人々に希望を与えているはずだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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