前半は不安膨らむも、後半に見せつけた安定感――ユベントスがスーペルコッパ制覇‼

2015年08月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

今シーズンもユベントスの強さの骨子は安定した守備にあり‼

昨シーズンはカップ王者のナポリに敗れてスーペルコッパ3連覇を逃していたユベントス。二冠王者としては、絶対に負けるわけにはいかなかった。 (C) Getty Images

 アンドレア・ピルロ、アルトゥーロ・ビダル、カルロス・テベスという、昨シーズンまでのチームの中心的存在がごっそり抜けたユベントス。果たして、新たなチームがいかなるものか、そしてそのチーム作りがどれだけ進んでいるのかが、ラツィオとのスーペルコッパ・イタリアーナ(イタリア・スーパーカップ)の興味のひとつだった。
 
 前半、ユベントスが感じさせたのは、喪失感だった。ピルロがチームを自在に操った中盤の底にはクラウディオ・マルキージオが就いたものの、攻撃の起点となるどころか、守備でもラツィオの速い攻撃を封じることができず、最終ラインの負担を増やしてしまった。
 
 代わりにユベントスの攻撃の起点となったのは、新たな背番号10、ポール・ポグバだ。フィジカルの強さと俊敏性、そして高いテクニックでボールを前方に運ぶ様は、攻撃のリーダーに相応しいものだったのは確かだ。しかし、他の選手との連係が機能せず、決定機を演出するまでには至らない。
 
 注目のCFマリオ・マンジュキッチも、前線では完全に封じられた。下がった位置では、抜群の高さとキープ力でターゲットとしての役割を果たすも、フィニッシュには絡むことができない。
 
 ステファン・リヒトシュタイナーによる右サイドから中央に切れ込んでのミドルぐらいしか相手ゴールに迫る場面がなかった前半のユベントス。ビダルが作っていた中盤の厚み、テベスが見せたゴールを生み出す動きは新チームでは見られず、2015-16版ユベントスがいかなるものなのかが見えてこない、低調な内容に終わった。
 
 一方のラツィオは、フィニッシュには持ち込めなかったものの、中盤でのゲームの作りについてはユベントスよりも形になっており、ピッチを広く使ったパスワークとアントニオ・カンドレーバやフェリピ・アンデルソンの突破力は効果的で、好印象を与えた。
 
 しかし後半になると、状況は変わる。開始2分、ポグバが粘って出したスルーパスでマンジュキッチがGKとの1対1の決定機を得(シュートはGKに当てた)、その直後にはポグバが豪快なボレーによるミドルを放つ(ボールはわずかに枠を外した)など、立て続けにチャンスを得た。
 
 決定的な勢いをユベントスにもたらしたのは、61分のパウロ・ディバラ投入だ。空回りしたFWキングスレー・コマンに代わってピッチに立った彼が、絶妙なポジショニングとボールさばきでユベントスの中盤を活性化させる。
 
 そして68分、ステーファノ・ストゥラーロの狙いすました右サイドからのクロスをマンジュキッチが頭で合わせてゴールネットを揺らす。ゴール前では圧倒的な強さを誇るCFの本領発揮で、ユベントスが先制した。
 
 こうなると、次はユベントスの守備力が発揮される。前半は最終ラインの堅さが目立ったが、後半は中盤、前線での守備も機能した。マンジュキッチ、ポグバは相手のマークやボール奪取においても、レベルの高さを見せつけた。
 
 72分、マンジュキッチが右サイドからドリブルで突き進んでクロスを上げると、ボールは左サイドに流れたが、これをポグバが中央に折り返すと、ディバラが強烈にゴールに突き刺し、ユベントスは2-0とラツィオを引き離して絶対的安全圏に入った。
 
 ラツィオは以降、長短のパスやドリブルを使って懸命にユベントス・ゴール攻略を試みるが、結果的には相手の安定感を引き立たせる羽目となってしまった。
 
 国内二冠の強さを見せつけ、今シーズン最初のタイトルを獲得したユベントス。通算7度目のスーペルコッパ優勝を果たした彼らを見て、改めてこのチームの骨子が安定した守備にあることがうかがい知れた。ジョルジョ・キエッリーニ不在は、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝では大きな痛手となったが、今回は問題なかった。
 
 攻撃については、新加入のサミ・ケディラが戦線離脱して急きょ代役を探している他、超一流のトップ下の獲得を狙っているなど、まだ陣容の面で不確定要素は多いが、現時点でも十分に効果的な攻撃が展開できることが分かった。これにまだ、シモーネ・ザザなどの逸材も控えているのだから、他チームにとっては羨ましい限りだろう。
 
 戦前の不安は少なくなく、前半はそれがさらに膨らむ内容だったが、終わってみればユベントスは彼ららしい強さと、新加入選手らによる新鮮さを見せつけた。やはり今シーズンも、セリエAはユベントス中心に回っていくのだろうか。
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