【インターハイ準々決勝】市立船橋2-0滝川二|ようやく戻ってきた市船伝統の“堅守”で待望の無失点勝利

2015年08月07日 安藤隆人

ここまで3試合・4失点の出来に、守備の二枚看板は決意を持って臨んだ。

市立船橋の最終ラインを統率する杉岡(4番)。今大会初の無失点勝利に貢献した。写真:徳原隆元

『堅守・市船』を見せたい。ボランチでキャプテンとしてチームを牽引する椎橋慧也と、2年生ながらディフェンスリーダーとして君臨する杉岡大暉の守備の二枚看板は、強い決意を持ってこの試合に臨んでいた。

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「これまでの試合は2点リードを奪って、ちょっとホッとしてしまった時に、隙を見せてしまって失点を喫していました。もうこれ以上、こういう失点はしたくはありませんでした」
 
 こう杉岡が語ったように、1、2回戦ともに2点先行してから1失点し、3回戦の久御山戦でも1-1から3点を奪った後に、ロスタイムに失点をしてしまった。3試合で4失点。10得点を挙げ、好調な攻撃陣に対し、伝統的に堅守を武器とする市船にとっては、満足のいかない結果となっていた。
 
 それだけに彼らにとって、滝川二との準々決勝は、無失点に強いこだわりがあった。前半23分、右CKからDF白井達也が押し込んで先制すると、同28分にはこれまでノーゴールだったエースストライカーの永藤歩に待望のゴールが生まれ、2-0とした。
 
「さすがに4回も同じことを繰り返していては絶対にいけない。2点差になったからこそ、より集中して、声を出して、なにがなんでも守ろうと思った」(杉岡)
「もう絶対に失点をしないという気持ちで戦った」(椎橋)
 
 前半29分、滝川二のカウンターを椎橋が素早く身体を入れてブロックし、ボールを奪い取って、チャンスの芽を積んだ。後半20分には滝川二のMF江口颯の強烈なボレーシュートを、杉岡がシュートコースに飛び込み胸でブロック。彼らの気迫のプレーに引っ張られるように、白井や左SBの杉山弾斗、右SBの古屋誠志郎、ボランチの原輝綺、GK寺尾凌らも声を掛け合って、強固な守備を構築した。
 
 滝川二のFW持井響太ら、テクニックのある相手の仕掛けに我慢を強いられる時間帯もあったが、最後まで集中力を切らさず守りきり、待望の無失点勝利を手にした。
 
「まだまだです。もっと自分が持ち味である対人の強さと泥臭い守備をして、かつ攻撃の起点になって、チームを支えていかないといけない」(椎橋)
「ボールを奪うだけでなく、しっかりとシュートコース、蹴り足の前に立ってシュートを打たせない守備の質を高めていかないといけない。まだまだやるべきことが多いです」(杉岡)
 
 守備の二枚看板の強いこだわりは、たった1試合の無失点では到底納得してはいなかった。この勝利だけで、『堅守・市船』ここにあり、を実現したと言うつもりはないのだろう。準決勝以降の戦いにこそ真価が問われていることを、彼らはよく理解しているようだ。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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