「誰も彼の所に行かなかった」なぜL・ダミアンは痛恨ミスの敵GKを慰めたのか。母国メディアに語った“真意”。「いま世界では…」

2022年03月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

「彼が感じている痛みを感じないといけない」

劇的同点弾を挙げた後、敵GKに寄り添ったL・ダミアン。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 称賛を浴びた行動の"真意"を語った。

 3月6日に開催されたJ1リーグ第3節で、川崎フロンターレはガンバ大阪と敵地で対戦。1点ビハインドで迎えた終了間際のゴールで2-2の同点に追いつき、黒星を免れた。

 この劇的な同点弾を決めたのが、川崎の主砲レアンドロ・ダミアンだった。相手GK石川慧がボールを転がして蹴り出そうとした瞬間、背後から現われた小林悠がかっさらい、パスを受けた元ブラジル代表FWが、無人のゴールに流し込んだ。

 称えられたのは、その後の行動だ。L・ダミアンは痛恨のミスにしゃがみ込む石川に駆け寄って慰めると、タイムアップの笛が鳴った後も、ピッチに崩れ落ちる守護神に、再び歩み寄り、抱きかかえて言葉をかけた。

【関連動画】貴重な同点のあと、ガンバ守護神石川に歩み寄るL・ダミアン
 この時の振る舞いについて、川崎のエースが言及した。母国ブラジルのメディア『globo』が伝えている。

「ゴールキーパーが悲しんでいたが、誰も彼の所に行かなかった」と切り出したL・ダミアンは、「それは非常に厳しい。選手がそのようなミスを犯した時、(立ち直るのは)簡単ではない。私たちは他の人にもっと共感する必要がある」と続けている。

「彼が感じている痛みを感じないといけない。今日は彼だったが、明日は自分や他の誰かかもしれない」

 32歳のストライカーは、さらにこうした行動にこめた想いを打ち明けている。

「いま、世界には戦争やスタジアムでの暴力以外にも多くのネガティブなことがある。私たちは自分の子供たちや、試合を見ている子供たちに何か良いことを伝えなければならない。ネガティブなことばかりだと、こうした場所に子供たちを連れて行きたいと思わなくなる。だから、キーパーを立ち上がらせ、共感を示すジェスチャーをした。人生は続くんだ」

 ロシアのウクライナ侵攻が世界に暗い影を落とすなか、サッカーの試合では、子供たちにミスやネガティブな面ではなく、スポーツの素晴らしい面を見てほしい――。そんな思いをこめた心優しき9番の行動に、改めて賛辞を贈りたい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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