【インターハイ2回戦】青森山田 1-2 久御山|大会屈指のタレント軍団が陥った初戦の難しさ

2015年08月04日 安藤隆人

エースの神谷は「すべてにおいて一からやるしかない。悔しいのひと言しかない」。

青森山田の攻撃陣を引っ張ってきた神谷。持ち前の攻撃センスを存分に発揮することはできなかった。

 優勝候補の一角が、相手の勢いに飲み込まれ初戦で姿を消した。
 
 湘南ベルマーレ入団内定のFW神谷優太、ベガルタ仙台入団内定のCB常田克人というふたりのJ内定者が攻守の要となり、U-18日本代表GKの廣末陸、誰もが驚愕するロングスローを放つDF原山海里、そして高橋壱晟と住永翔の2年生ダブルボランチで固めた陣容は、まさに全国トップレベルだ。
 
 現に5年連続で戦っているユース世代最高峰のリーグ、高円宮杯プレミアリーグEASTでも、強豪Jユースを相手に堂々と渡り合い、現在3位と優勝争いを繰り広げている。その実力は本物と言える。
 
 しかし、一発勝負のトーナメント方式では、必ずしも実力どおりの結果に落ち着くとは限らない。
 
 青森山田は大会レギュレーションによって、昨年度ベスト4のため2回戦からの登場となり、対するは優勝候補の桐光学園を劇的な展開で下して勝ち上がった久御山。勢いのあるチームに対し、受け身になってはまずいが、「立ち上がりからどこか温く入ってしまった。攻撃がうまく行かず、メンタル的にも立て直せないまま終わってしまった」と神谷が唇をかんだように、自分たちのペースに持ち込めないまま、70分間があっという間に終わってしまった。
 
 12分に高橋がインタセプトから冷静にゴールを決め、まずは幸先良く先制に成功。しかし、その後が続かなかった。久御山の山本蓮と八田陸斗の2シャドーを軸にした流動的な攻撃の前に、最終ラインが下がり出し、中盤が間延び。さらに高橋と住永のダブルボランチも徐々に運動量が落ちて、中盤を相手に有効活用されてしまった。
 
 前半のうちに逆転を許すと、後半も久御山に決定機を作られたが、GK廣末が再三のファインセーブ。しかし、その奮闘に応えることはできなかった。
 
「チームでやろうとしたことができず、個々がバラバラになってしまっていた。相手に好き放題回されてしまった。連動した守備が最後までできなかった」
 
 神谷同様、常田も自分たちの甘さ、不甲斐なさを噛み締めていた。"らしくない"サッカーでの初戦敗退。その責任は自分たちにあると、彼らは受け止めていた。
 
「すべてにおいてイチからやるしかない。悔しいの一言しかありません。この試合のように『あれをやっておけば良かった』、『もっとやっておけば良かった』と後悔しないように、選手権では自分たちの形をしっかりと出したいし、そこまでもっと自分たちに厳しくならないといけない」(神谷)
 
 このままでは終われない。悔しさの原因が自分たちにあるのなら、それを解消し、強さに変えるのもまた自分たち次第。彼らにとっては悔しい結果だが、早期敗退という受け入れがたい現実を糧にできるかどうかは、今後の取り組みに懸かっている。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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