「ミナミノを先発させるべきだ」ファンがそう望んだ決勝で出番なし…南野拓実の現状に英国人記者が嘆き「リバプールの一員で満足してはいないか」【現地発】 

2022年03月02日 スティーブ・マッケンジー

「ハングリーで野心的なようには聞こえなかった」

リーグカップでは活躍していた南野だが、決勝では出番なしに終わった。(C)Getty Images

 カラバオカップの決勝で、リバプールがPK戦の末にチェルシーを下し、9度目の戴冠を果たした。今大会、リバプールで最も多い4ゴールを挙げていた南野拓実は、出番を得られなかった。

 カラバオカップでチーム最多得点という事実は、彼のいまの立場をよく表わしているとも言える。要は「カップ戦要員」ということだ。重要な試合で先発することはなく、今シーズンのプレミアリーグ出場した10試合は全て途中出場だ。野心的な選手であれば、この状況は十分とはとても言えない。

 彼は2020年1月から(サウサンプトンに半年レンタルされていた期間を含め)約2年間リバプールに在籍しているが、序列は下がっている。当初、ファンは彼をもっと使うように求めていたが、その声もだんだん小さくなっていった。

 後から入ってきたディオゴ・ジョッタがすぐに抜き去り、いまでカーティス・ジョーンズやハーベイ・エリオットでさえ、南野を上回っている。そして、今冬のルイス・ディアスの加入は、スタメンを確保するための行列がさらに長くなったことを意味する。最近、ここイングランドで記事に南野の名前が出ることもめっきり少なくなった。

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 とはいえ、カラバオカップでの活躍を、ファンは忘れていなかった。

 取材のため、地下鉄でウェンブリーにスタジアムに向かう途中、私はリバプールのファンの何人かと話をした。彼らは「南野を先発させるべきだ」と口々に言っていた。決勝まで進めたのは彼のおかげであり、ファイナルでチャンスを与えられる権利があると。

 だが、先発はおろか120分間を通して、出番さえ回ってこなかった。試合前に、ウェンブリーの大画面で、リバプールが決勝までに奪った全ゴールが流された。その中で最も多く登場した18番がピッチに立てないとは……。悲しいことだが、これが、いま彼が置かれた状況だ。
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 南野は最近英語でクラブのインタビューに応じ、チームいることを楽しんおり、チームを助けたいと話していた。それは素晴らしい姿勢だが、自分自身の成功のために、ハングリーで野心的なようには聞こえなかった。

 おそらく彼は、世界最高峰のチームの一員としてプレーすることに満足してしまっているのではないか。だが、もう若手でなく27歳だ。キャリアの重要な時を迎えている。その才能が、カップ戦だけでしか発揮できないのはあまりに惜しい。次のステップを踏み出すことも、そろそろ考えるべきではないだろうか。

取材・文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

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