「マサヤは価値がある選手」指揮官や同僚が賛辞を贈る奥川雅也。このチーム得点王をどう活かすかがビーレフェルトの戦術に!【現地発】

2022年02月26日 中野吉之伴

後半戦に入ってから躍動感のある動きで注目を集める

前節のウニオン・ベルリン戦で決勝点を挙げた奥川。(C)Getty Images

 基本的に残留争いで苦しむチームというのは、構造に問題を抱えて、不用意な失点で苦しむという傾向が強い。例年の降格チームをチェックしてみると、どこもやはりというか総失点が多い。

 そんななか、奥川雅也がプレーするビーレフェルトが示している数字は一つの驚きだ。ここまで23試合で総失点が29。これはリーグ内で5番目に優れた数字ということになる。ビーレフェルトより失点数が少ないのはライプツィヒ(28)、フライブルク(26)、マインツ(26)、バイエルン(26)の4クラブだけなのだ。

 失点が少ないからといってビーレフェルトは1試合の間ずっと自陣に引いて守備を固めているわけではない。むしろ積極的にプレスを仕掛けて、敵陣でのボール奪取を狙い、そこからのショートカウンターからゴールを狙うところがうまくいっている。

 ただ、どれだけ惜しいチャンスを作ってもボールがゴールラインを越えていかないと、サッカーというスポーツでは1点に換算されない。「決定機を逃さない」「チャンスをしっかりと活かす」というのはどんなチームのどんな監督や選手でも口にする言葉。ファンだって、試合からの帰り道で「あそこのチャンスさえ決めていたら…」という話題が中心になる。

 それだけに。いまビーレフェルトの得点源として今シーズンここまで8得点の奥川と8アシストを挙げている20歳のオーストリア人MFパトリック・ヴィマーの2人が持つ価値は非常に大きい。どちらもシーズン序盤はまだ目立った活躍をすることがなかなかできないでいたが、特に後半戦に入ってからは躍動感のある動きで注目を集めている。
 
 前節のウニオン・ベルリン戦でもヴィマーのアシストから奥川が決勝ゴール。互いを認め合う2人の関係性は非常に良好だ。

 ヴィマーが「ボールを受けたときに自分でシュートを撃った方がいいかなって思ったんだけど、コースがなかった。だからボールをコントロールして、そしたらマサヤがパーフェクトにスペースに動いていたのが見えたんだ。うまくパスを通すことができて、マサヤが力強く決めてくれたね」と振り返る。

 奥川も「ポジションは左サイドなんだけど、いいタイミングで相手マークを外すことができたと思う。フリーになれた時に『パスをくれ!』って祈っていたよ。ヴィムシィ(ヴィマー)が上手く僕を見てくれてナイスパスを送ってくれた。ファーストタッチがうまくいったし、後はゴールへ蹴り込むだけだった」と相棒のアシストに感謝していた。

 ビーレフェルトは15節終了時でリーグワーストの10ゴールしか決めることができなかっただけに、2人はいまやチームにとっての生命線とさえいえる。

【動画】コンパクトに右足を一閃。奥川が決めた巧みな決勝点をチェック!

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