京都が掴んだ4095日ぶりのJ1勝利――開幕戦・浦和撃破で見えた強みと肝に銘じるべき曺監督の言葉

2022年02月22日 雨堤俊祐

京都のスタイルを貫き、浦和にビルドアップを簡単には許さず

P・ウタカ(右から4人目)の決勝点で京都が開幕戦で白星。浦和を相手に無失点勝利を飾った。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 試合終了のホイッスルが鳴り響くと、ピッチ上の選手たちは喜びを爆発させ、ベンチでもスタッフや選手たちが次々と抱き合っていた。J1復帰を果たした京都は、開幕戦で浦和に1-0で勝利。後半開始直後にエースストライカーのピーター・ウタカが決めたゴールを守りきり、じつに4095日ぶりのJ1勝利を挙げた。

 昇格クラブにとって、初戦での勝利は非常に価値がある。この試合ではそうした結果に加えて、内容面でも確かな収穫があった。まずは戦術の軸となる前線からのプレスが機能したことだ。ブロックを作って構える守りではなく、前から積極的にボールを狩りにいくのが京都のスタイルだ。攻守の切り替えや球際の厳しさなど強度の高いプレーを全員が怠らずに実行することで、浦和の自陣からのビルドアップを簡単には許さなかった。
 
 高い位置で奪って速攻に転じる場面があったし、ロングボールを蹴られる場面でも出し手に圧力をかけることで制限をかけて、最終ラインが跳ね返すことができている。GK上福元とセンターバックのメンデスとアピアタウィアはいずれも新加入選手だが、チームの戦い方を実践できていた。前からプレスをかけるためには最終ラインを下げずにコンパクトな陣形を保つことが重要だが、その点についても勇気を持って対応している。後半途中からはさすがにプレスの出足が鈍り始め、そうなると実力者が揃う浦和に猛攻を食らってピンチの連続だったが、ぎりぎりのところで足を出して相手にプレッシャーをかけたり、枠内シュートは上福元が好セーブ。ベンチも終盤は5バックにして戦い方をはっきりさせることで、最後まで失点は許さなかった。

 攻撃でもチャンスが作れていた。ボールを奪ってから素早く攻撃に移り、複数の選手が敵陣ペナルティエリア内へ走り込む場面が見られたし、自陣の低いエリアからのスタートとなったときも、ウタカが前線で起点となっていた。J2で圧倒的な存在感を放ったエースにとっても5年ぶりのJ1だったが、判断と技術が光った得点シーンも含めてさすがのパフォーマンスだ。

 また、ウタカが動いてできた中央のスペースに、ウイングの豊川や武富が入ってくる流動性も発揮されている。新戦力の豊川は戦術との相性の良さを早速見せており、昨季は怪我に苦しんだ武富も古巣を相手に決定機を迎えるなどよく動けていた。今季は松田を本来の中盤で起用することになりそうなだけに、前線の戦力拡充は心強い。

【動画】P・ウタカが京都を勝利に導く決勝点をゲット!

次ページ「肌感覚で学んでいかなければ成長も勝利もない」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事